気象部門の国内準備

南極地域観測隊は、気象庁の職員が担当をする気象の定常観測を行う部門があります。今回はその気象部門の「オゾンゾンデ観測」に焦点を当て、国内でどのような準備を行っているか紹介します。

南極・昭和基地では、その特殊な環境から、国内では当たり前にできることが簡単にはできません。例えば、国内ではものが足りなくなればその都度メーカーから購入できます。しかし昭和基地の場合、輸送のすべてを南極観測船「しらせ」による年1回の輸送に頼っているため、1年先を見据えて事前に大量の物資を準備し、持込む必要があります。

気象部門では、定常観測のひとつとしてオゾンの観測を実施しています。8月28日、オゾンゾンデ(上空のオゾンを観測する機器)のセンサーの納品がありました。1年分の機器は大量ですが、南極で確実に観測が行えるよう、1台1台丁寧に検査を進めます。
▶参考:観測隊ブログ (JARE64) : オゾンの観測
▶参考:JARE65 観測隊ブログ(JARE65):気象観測を支える地道な作業

1年分のセンサーの個数確認する気象隊員
撮影:JARE68島村翔(2026年8月28日)
センサーの動作確認をする様子
撮影:JARE68島村翔(2026年9月10日)

また、オゾンゾンデは、上空の「オゾン(О3)」とセンサー内の「反応液」との化学反応を利用してオゾンの量を測定します。この反応液は、国内での観測では専門の化学薬品メーカーから既製品を購入していますが、有効期限が約6カ月と非常に短いのが特徴です。そのため、昭和基地では粉末試薬を持込んで、現地で隊員が自ら調合しなければいけません。今回の訓練では、その調合も行いました。調合には薬品を取り扱う上での安全性の確保はもちろん、きめ細かな手先の作業が求められます。隊員たちは講師から実践的なテクニックを学び、現地での確実な作業に向けて熱心に技術を習得していきました。

オゾンゾンデ反応液の調合訓練
撮影:JARE68島村翔(2026年9月15日)

地球環境が発するわずかなサインを決して見逃さない。その重大な使命を胸に刻み、気象隊員たちは今もひたむきに訓練を重ねています。

(JARE68 島村翔)