オゾンの観測

気象部門では、気象定常観測のひとつとしてオゾンの観測を実施しています。オゾンとは酸素原子3つから成るO3と表される気体で、私たちの身の回りの空気中に存在する物質です。地上約10km~50km付近の成層圏にはオゾン層と呼ばれるオゾンの濃度が高い層が存在していて、太陽からの有害な紫外線を吸収し、地上の生態系を保護する役割を持つことで知られています。

現在、昭和基地では地上のオゾン濃度の連続的な観測、分光光度計を使った大気中のオゾン全量の観測、オゾンゾンデ(ゴム気球に吊した観測機器)による上空のオゾン量の分布など、さまざまな方法でオゾンの観測を行っています。昭和基地は国際的な気象観測網の一部を担っており、観測データは世界中で利用されています。南極上空ではオゾン量が極端に少なくなるオゾンホールという現象があるため、地上から上空までのオゾン量の増減を監視する必要がありますます。

今回、オゾンゾンデ放球の様子を撮影してきました。オゾンゾンデは1週間に1回程度飛揚していますが、南極上空にオゾンホールが現れる8月から11月にかけては観測回数を増やし監視を強めているとのことです。

オゾンゾンデ放球の様子
撮影:JARE64 白野亜実(2023年4月15日)

オゾンゾンデで観測した上空の気圧・気温・湿度・風向・風速とオゾン量のデータは無線で送信される
撮影:JARE64 白野亜実(2023年4月15日)

オゾンゾンデ観測による月平均オゾン分圧の分布 高さ20km付近でオゾン量が多くなっている
引用元:気象庁ホームページ

(JARE64 白野亜実)