66次隊のドームチームが南極内陸で行っていた氷の掘削作業が終了しました。
南極観測隊では昭和基地から内陸に約1,000kmの位置にある「ドームふじ観測拠点II」にて、今年度から3年にわたり、深さ約2,700mまでのアイスコアと呼ばれる氷のサンプルを採取する計画を立てています。この計画は、100万年を超える最古級のアイスコア掘削を目指すものであり、66次隊の重点研究の軸の一つとされています。
65次越冬隊から3名と、先遣隊として早期に南極入りした66次隊15名からなるドームチームは、11月10日に昭和基地を出発し、12月1日に「ドームふじ観測拠点II」に到着しました。12月12日には待望のファーストコアを採取、以後、掘削を続け、約540mの深さまで掘り進めることに成功しました。採取したアイスコアは1本50cmほどに切り分け、段ボールに収容します。その後、1月7日に観測拠点を離れ、採取したアイスコアとともに1日平均100kmのペースで復路を進み、昭和基地から約160km先にあるZ8という地点へ向かいました。
1月14日、Z8地点にて海上自衛隊の大型ヘリで昭和基地から来た観測隊員たちが慎重に回収し、アイスコアのピックアップ作業が無事終了しました。現在、アイスコアは南極観測船「しらせ」の船内に保管されています。
66次隊では約800mの掘削を目指していましたが、掘削機材の不具合他、さまざまなトラブルの影響で観測スケジュールが調整され、予定より早く作業を切り上げることになりました。ドームチームのリーダーとして本オペレーションを統括した66次隊の川村副隊長は「予期せぬ事態にも対応しながら、無事にアイスコアを手渡すことができたことは一安心、今回の活動から得た経験を今後に活かしていきたい」と語っていました。
今後、アイスコアの分析は国内に持ちかえった後、本格的に行われる予定です。
アイスコアの研究については、以下の記事も是非ご覧ください。
極地研のウェブマガジン「極」
・未踏の100万年前の氷を掘るために
・大図解!ドームふじ観測拠点II
観測隊ブログ
・66次隊 ドームふじアーカイブ
(JARE66 北本 憲央)