2025年1月15日、一般空輸が終了しました。これで、2024年12月28日に優先空輸によって初荷が送られて以降、観測機器や生活用具、燃料、各種車両、大型物資、そして越冬に必要な食糧など、南極観測船「しらせ」で日本から運ばれた物資の全てが昭和基地へと運ばれたことになり、輸送作業は持ち帰り物資の空輸を残すのみとなりました。
ここで、66次隊が昭和基地へ到着してから行われた物資の輸送作業についてご紹介します。
1.優先空輸:2024年12月28日~30日
2024年12月28日、昭和基地から約約12マイル(約22km)の距離まで近づいた「しらせ」から、第1便のヘリコプターに原田隊長をはじめとする66次隊員と初荷を乗せて昭和基地へ降り立ちました。この日から3日間、66次隊の生活用品や観測・設営に必要な物資がヘリコプターで「しらせ」から昭和基地まで運ばれました。
2.バルク輸送(パイプライン輸送):2025年1月4日~6日
優先空輸が終了し、「しらせ」は、12月31日に昭和基地沖から約300mの距離に接岸しました。接岸といっても昭和基地には観測隊員の乗り降りや物資の積み卸しを行うための桟橋がありません。そこで、昭和基地のタンクから燃料輸送用のホースを延ばして届く約1km以内の距離に「しらせ」が到達し停泊することを、接岸と呼んでいます。
昭和基地で使用する燃料は、「しらせ」の燃料タンクやドラム缶に入れて日本から運びます。「しらせ」が接岸してから年明け2025年1月4日、燃料を昭和基地に送るバルク輸送が始まりました。この輸送では、しらせ乗員と観測隊員が協力して燃料ホースを延ばし、昭和基地と「しらせ」の燃料タンクをつなぎます。そして、輸送が始まると24時間体制となり、しらせ乗員、観測隊員がそれぞれの持ち場で燃料漏れ等を監視します。
3.氷上輸送:2025年1月4日~7日
大型の物資や車両など、ヘリコプターで運べないものは海氷上で輸送します。建築資材が詰め込まれたコンテナや大型トラックなどを「しらせ」からクレーンで海氷上へ降ろし橇(そり)に載せ、雪上車によって昭和基地へと運びました。なお、氷上輸送は1日のうちで一番冷え込み、海氷が安定する夜間に行われます。夜間とはいえ、太陽が沈まない白夜の時期のため、夜でも明るく作業が可能なのです。
4.一般空輸:2025年1月10日~15日
残りの物資は、再びヘリコプターで輸送されます。主な搬入物資は、越冬食糧を積み込んだスチールコンテナや、燃料が入ったドラム缶、気象観測のゾンデ放出に必要なヘリウムガスなどです。
15日の最終便で昭和基地へ運ばれた物資には、輸送作業に協力して頂いた「しらせ」乗員から66次越冬隊員に向けて激励のメッセージが添えられました。
しらせ乗員のみなさま、各種輸送にご協力いただき、まことにありがとうございました!
(JARE66 北本 憲央)