向岩ルート工作

昭和基地は東オングル島という島の上にあるため、南極大陸や周辺の島々へ渡るためには、海氷上を移動する必要があります。
先日のブログでも紹介したように、昭和基地の周辺の海氷上には、タイドクラックなどの危険が多く潜んでいるため、目的の場所まで安全に移動するための道(ルート)を作る必要があります。
今回は4月16日(金)に実施した、向岩(むかいいわ)ルート工作の様子をご紹介します。

向岩は昭和基地から約5kmの場所にあり、南極大陸への上陸点としても使われていた場所です。62次隊としては初の大陸までのルートとなります。
先日国内では、向岩で発見された観測隊デポ物品のコカ・コーラとクールミントガムを日本コカ・コーラ株式会社さんと株式会社ロッテさんに贈呈するセレモニーが行われたことで話題になりました。

今回はスノーモービル3台、5名の隊員でルート工作に出かけました。まずは既に安全なルートが確認できている地点までスノーモービルで向かいます。

2本旗は分岐点を表す。ここから向岩に向けてのルートを作っていく
撮影:JARE62 金城順二(2021年4月16日)

 

そこから、以前に作られたルートを参考に、約500mおきに氷厚を測り、目印の旗を立てていきます。また、旗と旗の中間地点でも氷厚を測り、スノーモービルや雪上車が安全に通行できる厚さがあるかをチェックしていきます。

ドリルで海氷に穴をあけ、厚さを測る 
撮影:JARE62 金城順二(2021年4月16日)
ルート上の各ポイントに目印の旗を立てる
撮影:JARE62 金城順二(2021年4月16日)

 

旗を立てたポイント同士は、GPSやハンドベアリングコンパスという道具を使って、距離・角度を測り記録しておきます。強風や雪によって旗が折れていたとしても、この記録を確認することでルートを見失うことが無くなります。

ハンドベアリングコンパスを使って前のポイントとの角度を測る
撮影:JARE62 金城順二(2021年4月16日)

 

こうして3時間ほどで向岩までのルートが完成しました。初めて大陸に上陸した隊員は、向岩からの景色に感動していました。

今後、向岩では24時間のGNSS観測(西の浦でのGNSS観測の様子はこちら)が予定されています。
また、氷や雪の状況によって、向岩から内陸の観測拠点へルートを伸ばすことも計画されています。

南極大陸へ初上陸! 
撮影:JARE62 金城順二(2021年4月16日)
ルート開通の記念撮影 
撮影:JARE62 金城順二(2021年4月16日)

(JARE62 金城順二)