4月5日~8日にかけて、レスキュー訓練が実施されました。3月18日の海氷安全講習の記事で紹介したように、昭和基地の周りにはタイドクラックが多く潜んでいます。また、南極大陸上でもクレバスがいたるところにあり、そういった場所に誤って転落してしまうと、大怪我に繋がります。
まずは事故が無いように行動することが大切ですが、もしもの場合に備えることも同じように大切になってきます。
現在、昭和基地には31名の隊員しかいませんので、事故が起きても国内のように専門のレスキュー隊に救助を要請することはできません。そのため観測隊では、万が一に備えたレスキュー体制が組まれており、今回は実際にレスキューを行う隊員を対象に、野外観測支援隊員が講師となって訓練が実施されました。
初日は室内で、ロープワークや器具の使い方等を教わりながら、クレバス等にロープを使って降下する方法を学びました。
2日目は少しレベルアップ。管理棟の非常階段を使っての降下訓練と、要救助者を引き上げる訓練が実施されました。
3日目は、実際に基地の近くの雪上で要救助者を引き上げる訓練が実施されました。この日の最低気温は-13.3度。寒い中雪上で作業するため、管理棟で実施した訓練のようにスムーズにいかないことを思い知らされます。
最終日には雪上車及びスノーモービルでクラックを渡る際に使用する、道板の使用方法についての訓練と、車両がスタックしたり割れ目に落ちたりした場合の救出方法について学びました。
これから野外調査が増えてくる中で、まずは事故を起こさないように安全に配慮して行動することが最重要ですが、不測の事態が発生しても迅速な対応が取れるよう、隊員達は常に訓練に励んでいます。
(JARE62 久保木 学・金城 順二)