4月に入り、だんだんと夜が長くなってきました。これから、極夜に入るまでにルート工作を実施し、極夜明けからは昭和基地を離れての調査・観測が本格的に始まります。
当然、野外に出れば危険がいっぱいです。これまで、様々な講習・訓練を実施し、安全な行動について学んできましたが、今回はその集大成とも言える野外安全行動訓練について紹介します。
野外安全行動訓練では、予め設定されたルートを、地図やコンパスを使いながら進みます。今回は、昭和基地を出発後、海氷を渡って西オングル島に上陸し、1次隊が上陸式を実施した地点まで向かい、そこで昼食をとった後、東オングル島の南側にあるポルホルメンという小さな島に上陸し、その後、東オングル島に戻り胎内岩を経由して昭和基地に戻るというルートで実施されました。
訓練実施日の数日前からすっきりしない空模様が続いていましたが、訓練当日(4月20日(火))は好天に恵まれ、絶好の野外活動日和となりました。ただ、天気が良い分、放射冷却により気温はグッと低くなり、出発時(9時)の気温は-18.4度、訓練中の最低気温は-20.0度まで下がりました。
ルート上には、雪が積もった場所、露岩地帯、海氷上、凍った池の上など、様々な場所があり、実際に野外に出た際の注意点を体感として学ぶことができました。
お昼前に1次隊の上陸式が実施された場所に到着。昼食はカップラーメン。お湯を入れて3分待つとぬるくなってしまうため、1~2分ですぐに食べ始めます。調理隊員が握ってくれたおにぎりをスープに入れて、残さず食べきりました。
昼食後、ポルホルメンに渡ると、南極大陸と東西オングル島が見渡せ、しばし絶景に見惚れます。
「今さらながらすごい所に来たな~」とつぶやく隊員も。
撮影:JARE62 金城順二(2021年4月20日)
その後、東オングル島に渡り、胎内岩、みどり池を経由して14時前に昭和基地に無事に到着しました。
今回は、約半数の隊員が訓練に参加し、残りの隊員は基地に残って観測や除雪等を行いました(残りの隊員は後日訓練を実施する予定)。野外に出た隊員の訓練に加えて、残った隊員も、少ない人数での作業や、緊急時の対応を考える良い機会となりました。
(JARE62 金城順二)