観測隊の連絡の要~無線通信

今日17日、チバニアン誕生の発表がありました。千葉県市原市にある地層「千葉セクション」が国際地質科学連合の「GSSP(国際境界模式層断面とポイント)」に認められ、約77.4万年前~約12.9万年前の時代が「チバニアン」という名前になることが決定したのです!

 

先日紹介したぬるめチームの板木拓也隊員は、チバニアン申請チームのメンバーでもあります。17日の朝、日本から昭和基地に「至急:お願い」というタイトルのメールが。チバニアンについての板木隊員のコメントと顔写真を送ってほしいとのこと。昭和基地時間10時(日本時間16時)から行われる記者会見で使うそうです。しかし、インターネットの繋がる昭和基地とは違い、ぬるめ池でキャンプをしている板木隊員には、メールや電話で依頼を伝えることができません。

 

そこで無線の出番です。観測隊では、基地内での隊員同士の連絡にも、野外調査に出ている隊員と基地との連絡にも、無線を使っています。通信担当の隊員は管理棟の通信室に詰めて、隊員に必要な情報を無線で伝えたり、非常時に所在確認をしたり、隊員どうしの通信がうまくいかない場合に仲介をしたりと、常に無線通信の状況をワッチ(見守り・監視)して、隊員が安全、スムーズに作業ができるようサポートしています。

 

今朝はちょうど、昭和基地とぬるめチームがVHF無線で交信する機会があったので、通信担当の氏家宏之隊員は板木隊員に「コメントと写真を送ってほしい」と伝えました。

昭和基地の通信室で、野外調査チームに無線で連絡事項を伝える氏家隊員。通信室では、野外調査に出ている隊員との連絡や安否確認、ヘリコプターの発着時間の周知、隊員同士の連絡の仲介などをひっきりなしに行っています。無線機から流れてくる氏家隊員の優しい口調に、隊員達は毎日元気づけられています。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年1月13日)
キャンプ用テント内で昭和基地と無線交信する「ぬるめチーム」のリーダー、石輪健樹隊員。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年1月8日)

依頼はきちんと伝わり、午前中にぬるめ池から撤収した隊員が、論文の紙の裏にボールペンで書かれた板木隊員のコメントと、顔写真のデータを昭和基地に持ってきてくれました。受領後すぐに日本にメールで送信。ギリギリではありましたが、記者会見に間に合わせることができました。板木隊員のコメントと写真は下のとおりです。


「この南極の地で、チバニアン採択の報にふれることが出来、とても安堵している。これによって地質学がより広く、正しく普及していってくれることを期待する」

 

 

国内でメッセージが読みあげられた時の様子もご覧ください。(撮影・編集:極地研 広報室)

JARE61 寺村たから)