東経110度ラインの観測終了!

12月14日、東経110度ラインの南緯40度から60度の5地点で例年実施している海洋生態系モニタリング観測について、12月14日に南緯60度地点の観測を実施し、予定していた全地点での観測が終了しました!以前のブログ(海洋観測スタート)で触れられなかった観測についてもご紹介です。

★連続プランクトン採集器(CPR)

センサーのような電子回路を一切搭載しない、シンプルな仕組みのプランクトン採集器です。見た目は金属の魚のようなこの装置。しっぽの部分のプロペラを動力に取り入れ口から海水を取り込み、内部の布地に巻き取って動物プランクトンを採集する仕組みで、船の航行中に連続的にプランクトンを集めることができます。世界で最も長距離データを取得した海洋観測装置として、2023年にギネス記録にも登録されている歴史の長い装置です。

しらせではCPR投入後、次の観測点までえい航させ回収することで、約24時間分(緯度にして5度分)のデータを取得しています。

CPR揚収の様子
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
お腹の部分に入ったロール紙でプランクトンを巻き取る
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11,12日)

ただし、このCPR。取得できる結果にはバラツキも大きいため、後に補正式をつくるためにCPRのえい航中30分に一回手動で同じ層の海水のろ過を行っています。作業負担の大きな観測ともいえますが、プランクトンネットのように点での観測でなく、観測点から点まで線のデータを得ることができます。

★連携共同観測(豪気象局ブイ・Argoフロート)

データの少ない南極地域での観測網拡大のため、国内外と協力した連携共同観測も毎年実施しています。

豪気象局ブイの投入
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月13日)
投入前のArgoフロート。自動で沈降・漂流・データ送信を繰り返す装置で、
長期間(一年以上)海の水温・塩分の値を取得することができます。名前はDeep NINJA!
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月13日)
手前が豪気象局ブイで、奥がArgoフロート
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月13日)

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この東経110度ラインの観測、天候が悪いとスキップになってしまうためその日の海況と天気予報を気にしながらの毎日でしたが、昨年に引き続き今年も計5地点全てのポイントでの観測に成功しました。「しらせ」の艦橋から乗船中のみなさまに観測成功を報告する様子です。

少しほっとした様子でマイクをとる海洋観測取りまとめ担当の森田隊員
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月14日)

隊員・しらせ乗員のみなさま、おつかれさまでした!

(JARE67 池田未歩)