出港から3日目の12月10日、南極観測船「しらせ」は東経110度ラインに入り、一度船の航行を停止させて行う本格的な海洋観測がスタートしました! 日本の南極地域観測隊では、海の経年変動や季節変化を監視する海洋生態系モニタリングの一環として、毎年南緯40度から60度まで5度刻みに設定した観測点でCTDや採水、プランクトン採集などの海洋観測を行っています。
★LADCP搭載のCTD採水システム
海水を採取するボトルと海水の塩分や温度を測るセンサーを取り付けたCTD採水システムと呼ばれる装置に、海流の向きと速さを測るLADCP(Lowered Acoustic Doppler Current Profiler)という機器を搭載した装置です。グレーのニスキンボトルは特定の深度(正確には水圧)で上下の蓋が閉じるようになっており、目的の深さの海水を採取することができます。
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
揚収後はただ水を集めれば良いというだけではなく、この後測定したい項目ごとに決められた手順で採水する必要があります。あまり外気に触れさせたくないものはチューブを使うなど、採水方法も容器も様々です。
右:採水用に用意された容器
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
★プランクトンネット(ノルパックネット、がま口ネット)
ネットを使ったプランクトン採集も行っています。ノルパックネットは任意の深度から引き上げることで、ネットが到達した深度〜海の表層までのプランクトンをがばっと筒状に採集することができるシステム。網目の細かさの違うネットを二つ並べて使っており、それぞれ別のサイズのプランクトンを採集することができます。
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
一方がま口ネットは、その名前の通りネットの入り口ががま口財布のような形状になっており、海中への投下時に重りを使って蓋を閉めることで指定した水深のみのプランクトンを採集することができる仕組みです。
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
がま口ネットで採集したプランクトンを集める様子
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月10日)
目標の深度に到達するよう、ワイヤーの角度を測って巻き出す長さを決めます。
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
日によって他にも観測項目が増えたりしつつも、この3つを基本に計5地点での観測を予定しています。天候が悪いとスキップになってしまうので、全ての観測点で実施できるのは5,6年に1度とのこと…。良い天気が続きますように!
(おまけ)
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月11日)
(JARE67 池田未歩)


