トッテン氷河沖での集中観測が始まりました!

3月6日、南極観測船「しらせ」が南緯64度を通過し、いよいよトッテン氷河沖での観測が始まりました。

「しらせ」の航跡マップ
2025年3月6日13時5分55秒(現地時間)時点の位置(×印)

※「しらせ」の航海状況はHPで確認することができます。観測隊はいまどこ?

トッテン氷河は東南極における最大級の氷河であり、流域の氷がすべて融けると約4メートルの海面上昇が予測されています。近年、その氷河が小さくなっていることが注目されており、この縮小は暖かい海水による棚氷底面(裏)の融解が原因ではないかと考えられています。

南極地域観測隊ではJARE59における観測を皮切りに、トッテン氷河沖での精力的な観測を継続しています。特にJARE61では往路、復路とも集中的に実施する海洋観測(通称:トッテン祭り)を行いました。これら観測により、氷河沖に存在する暖かい海水が棚氷底面に流れてくる仕組みが明らかになりつつあります。そして、JARE66での観測は、氷河の融解メカニズムの解明に加え、融解水がもたらす生物・物質の循環への影響を明らかにすることを目的としています。

広がる青空のもと観測開始
撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月6日)

また、南極観測船「しらせ」は現在トッテン氷河域で観測を継続している唯一の観測船です。今年のレグ1での観測では艦長、航海長のブリッジワークと運用長、気象長をはじめ、「しらせ」乗員のみなさんと観測隊のチームワークが見事に噛み合い、予定されたミッションをほぼ完遂しています。今後の観測でも「しらせ」と観測隊が一体となり、南極の研究にとって実りある観測が達成できるよう、精一杯頑張ります!

▼トッテン氷河に関する研究成果 一例
「東南極最大級の氷河へ向かう暖かい海水のルートを解明 トッテン氷河を底から融かす海からの熱供給」

観測には「しらせ」乗員のみなさんの協力が欠かせません
撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月6日)
観測が本格的に始まり活気づく観測室
撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月6日)

(JARE66 北本憲央)