近年、海水温の上昇、海氷の減少、酸性化など海洋環境の変化によって、プランクトンの成育過程に大きな影響が及んでいると考えられています。この影響は海洋の生態系全体にまで波及するため、海洋環境の変化とプランクトンの生態系の関係を理解するために、現場における観測データの蓄積が必要とされています。
また、南大洋における東南極周辺はリンや窒素を含む栄養塩が多いにも関わらず、植物プランクトンが少ない傾向が見られるのですが、なぜこのような海域ができるのか、その詳細についてはまだ詳しくわかっていません。
そこで!
3月5日、FRRF付新型BGCフロート※が南極観測船「しらせ」から投入されました!
※読み方:エフアールアールエフつきしんがたビージーシーフロート
※FRRF(Fast Repetition Rate Fluorometry):高速フラッシュ励起蛍光高度計
※BGC(BioGeoChemical):生物地球化学

撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月5日)

撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月5日)

撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月5日)
このBGCフロートによって南緯60度付近の南大洋における、深さ2000mから表層までの水温・塩分・溶存酸素などの鉛直分布を高頻度で観測することが可能となりました。さらに、長期にわたって植物プランクトンがどれくらい効率よく光合成をしているかも自動で測定することができるようになります。
投入を見届けた観測担当の西川隊員は「無事に投入が成功しホッとしていますが、データが送られてくるまではドキドキします。また、今後の観測で採水されるデータと対応しているかどうかも気になりますね」と語っていました。
・・そして、その日の夜、順調に稼働していることを示す信号が確認されました!今後、1年以上続く観測で取得されるデータから、海洋環境の変化に伴う海洋中の物質循環や海洋生態系の謎を解明するための貴重な手がかりが得られるかもしれません。
頑張れ、FRRF付新型BGCフロート!!
(JARE66北本憲央)