血液交差試験の後、午後からは各隊員向けの個人装備の配布が行われました。
南極ではどういう装備で活動するのだろうかということについても簡単に紹介します。
下の表は広報隊員に配布された標準的な夏隊の個人装備品の一覧です。
基本的にはすべて国内で入手可能な既製品で揃えられています。
この装備一式は主に野外調査や屋外作業を対象として揃えられていることと、流石にこれだけでは洗濯サイクルが短すぎるので、下着や普段着なども含めて隊員自身でも調達・準備します。
南極と国内との大きな相違点は、気候もさることながらほぼ雪面もしくは露岩などの不整地面で行動するということです。アスファルト舗装の道なんてありません。そのため足元は長靴(事故防止のために鉄板入りの安全靴仕様)が基本となります。ですが設営の作業などで酷使しすぎるのか、しばしば破損して修理待ちとなり、予備品も不足することがあるそうです。
こうした個人装備は、私物として南極観測船「しらせ」の隊員室(二人部屋)へと運び込まれることになっています。運び込める荷物量は制限があり、段ボール5箱とダッフルバック1つ分までと決められています。この段ボールは幅56cm×奥行39cm×高さ29cmの規格で「しらせ」の隊員室ロッカーにピッタリ入るサイズになっていて、一人5箱分以上は入りません。夏隊の隊員はこの範囲で約4カ月間の生活を賄えるように私物を準備します。
また越冬隊員にはこれらとは別に、越冬私物用としてスチールコンテナ(通称スチコン:観測隊打ち合わせ①を参照ください)が割り当てられていますが、「しらせ」隊員室ではなく船倉内に運び込まれて昭和基地に入るまでは取り出せないので、やはり夏の間は5箱分の私物だけでやり繰りすることになります。
段ボール5箱という多いようで少ない制限量で何をどれだけ持っていくか、とても悩みながら準備を進めた広報隊員でした。
(JARE65 丹保俊哉)