9月2日、国立極地研究所での対面とオンラインのハイブリッドで、南極医学・医療ワークショップを開催しました。対面での開催は4年ぶりになり、オンライン参加の南極昭和基地越冬中の64次医療隊員や韓国の医師を含めると、約40名の方々が一堂に会しました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)からは金井宇宙飛行士の参加もいただき、宇宙医学と南極医学との共通点について議論が交わされました。
65次隊では越冬中の医療調査として、24時間自由行動下血圧測定計を用いた血圧変動性の調査を計画しています。南極極端な気候環境因子や、閉鎖空間でのストレスなどの複合因子が血圧変動に与える影響を調べるとともに、血圧変動から脳血管障害や心筋梗塞等の心血管イベントを予測し、予防することを目指します。今回のワークショップでは、調査計画に対して専門的な意見を多数いただき、内容をブラッシュアップすることができました。
また、越冬中の隊員心理についても議論が交わされるなかで、現場にいる隊員だけでなく、日本に残っている家族への心理サポートが欠かせないこと、そして家族への心理サポートが、隊員の極地でのストレス軽減つながる可能性が検討されました。
医療隊員として、隊員全員が身体だけでなく心も健康で帰国できるよう、出発までの残り少ない期間に、日本国内の幅広い分野の先生方と相談ができる体制を準備していきたいと思います。
(JARE65 小田有哉)