3地点を掘削して氷河底面の全貌を解明

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ラングホブデ氷河での野外観測も大詰め。550メートルを掘削した第1掘削地点から下流側に移動して、より海に近い地域でさらに2回の掘削を行いました。狙ったのは、氷河が海に浮いて棚氷となる境界「接地線」の近くです。果たして氷河の下は陸地なのか、それとも海なのか。慎重に場所を選んだ第2掘削地点は、450メートルの氷の下に約5メートルの海水。棚氷の上であることがわかりました。そこから数100メートル上流側の第3掘削地点で最後の掘削。今度は475メートルの氷の下に海水が2メートル、まさに接地線ギリギリの氷河下を覗くことに成功。53次隊および59次隊での掘削結果と合わせて、ラングホブデ氷河底面環境の全貌が明らかになります。

(JARE63 杉山 慎)

観測を行ったラングホブデ氷河。過去2回(53・59次隊)に続いて、63次隊では氷河の上流側で掘削を行いました。
撮影:JARE63 杉山慎(2021年12月14日)
熱水掘削のようす。融け水を貯水槽に汲み上げて、写真左手の装置で高圧の熱水ジェットをつくります。
撮影:JARE63 杉山慎(2022年1月23日)
深さ475メートルの掘削孔内部の画像。氷河の底に近づくにつれて、氷の中に土砂が含まれるようになります。孔の直径は約15センチメートルです。
撮影:JARE63 氷河観測チーム(2022年1月24日)
掘削中にハロー(暈)が出ました。
撮影:JARE63 杉山慎(2022年1月14日)