ちぢれ岩は昭和基地から東へ100マイルに位置し、これまでヘリコプターの着陸実績が無く、調査記録や三角点すら存在しない小露岩です。1月13日正午過ぎ、地質隊3名を乗せたヘリCH-101 91号機は、浪花飛行長に操縦桿を操られ、着陸地点捜索のためちぢれ岩上空をなめるように2周した後、その地に初めてタイヤ痕を残しました。
ここでの地質隊の任務は大きく2つ。第一は地質図の作成であり、そのためには何処にどのような岩石がどのように分布するかをくまなく踏査することが必要です。また、第二の目的は、あけぼの岩や日の出岬など、近隣の露岩から報告されている約10億年の変動が、このちぢれ岩にも存在するかどうかの検証で、これには帰国後に行う年代測定に最適な試料を採取する必要があります。実際の調査は1月17日からのブリザードの影響を受け、5泊での予定が3泊に短縮されましたが、幸い気候にも恵まれ、丸2日間の調査を実施することができました。本来ならば実施予定だった詳細なサンプリングはスキップせざるをえず、また気温マイナス5℃でも超快適な絶景のベースキャンプから離れるのは惜別の極みではありましたが、地質図作成に十分な情報と約200キロの岩石を採取して、無事1月16日にしらせに帰艦しました。今回ちぢれ岩初上陸にあたっては、飛行科や運用科をはじめとするしらせ乗組員、平均年齢の高い地質隊の身を案じ、荷物の積み込みをお手伝い頂いた観測隊メンバーに、地質隊一同、深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
(JARE63中野伸彦)