2か月ぶりのトッテン

「しらせ」は再びトッテン氷河沖にやってきました。振り返れば12月、ここで「トッテン祭り」と題した2週間の集中海洋観測を実施しました。この復路ではさらに長い3週間の観測が予定されています。実は、トッテン氷河沖には218日に到着していたのですが、海氷が厚くてなかなか前に進めなかったり、嵐に備えて氷のない海域へ戻ったり、強風で観測甲板に出られず待機したり……といった事情で観測はなかなか進まず、やきもきした雰囲気が漂っていました。

図:トッテン氷河沖の衛星画像と観測ポイントの候補地。薄いもやっとした白い部分は雲、白が濃いところは海氷や氷床の部分。黒いところは氷のない海です。オレンジ色の線がしらせの航跡。

 

海氷と曇天が行く手を阻みます……。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月19日)

 

今朝(222日)は昨日までの強風が収まり、観測甲板での作業も安全に問題なしと判断されました。さっそく朝7時から砕氷航行をして観測ポイント(図のNo.86)へ。8時頃から停船観測をすることができました。

もうおなじみ、採水器付CTD測器。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月22日)
かごを使った海氷の採取。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月22日)
海氷の採取後、すぐに温度を測定します。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月22日)
黄色い機器がアイスアルゴフロート。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月22日)

 

今日の停船観測では、アイスアルゴフロートという観測器も海に投げ入れました。設定された深さの海を漂いながら、時間が来ると自動で沈み、その後浮き上がり、また決まった深さに戻る・・・を繰り返します。浮きあがる際に様々な深さで海水温と塩分を測定して、水面にあがった時に位置情報と測定データを地上に送信する便利な測器です。さらに、浮き上がろうとした時に上に海氷があれば、ぶつからないように再び設定された深さに戻る、という賢い機能もついています。

 

本日1地点目の観測は9時過ぎに終了。移動し、昼ごろに2地点目(図のNo. 85)での観測が終了。今日の観測の3地点目(図のNo. 83)に向かいました。海氷域をラミング(*)しながら進み、日没近い20時頃に観測点に到着し、停船観測を実施しました。


*ラミング:いったん後進した後、勢いつけて前進し、海氷に乗り上げて船の重さで氷を割りながら海氷域を進む航法。

日没後は観測甲板のライトが点きました。珍しい光景。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月22日)

 

今日は3点で停船観測ができ、観測甲板に活気が戻りました。トッテン氷河沖の海氷状況はなかなか厳しいですが、できる限りの観測を進めます。

 

JARE61 寺村たから)