聖地ケープダンレーで係留系を捕獲せよ<その3>

その1その2の続きです。

 

RAS係留系を再捜索すべく、設置ポイントへ移動した11日の朝、日本国内の研究者から青木隊長のもとに1通のメールが届きました。シーソー係留系からのGPS信号を受信したとのこと!どうやら今になってシーソー係留系が海面に浮かんできたようです。予定を変更し、シーソー係留系の回収をすることになりました。3時間ほど船を走らせ、GPS信号が示すシーソー係留系の位置に戻りました。

 

船が目標位置に近づくにつれ、観測隊員やしらせ乗員が係留系を見つけようと甲板に集まってきました。艦内放送でも「係留系の浮上予想位置、真艦首(まかんしゅ、船のまっすぐ前方という意味)、400メートル」というアナウンスが。どこからか「あった!」という声がして前方を見ると、海面に点が浮いています。シーソー係留系のブイです!

どこに係留系があるか、わかりますか?
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月11日)

 

矢印の先の点が、シーソー係留系のブイです。

 

やっと見つけた係留系。これを船内に回収しなくてはなりません。

 

まず、ぷかぷか浮いている係留系に横付けするような感じで船が近づき、しらせ乗員の方が係留系のロープに引っかかるよう、カウボーイのように海にヨツメ(四爪)を投げました。

係留系を捕獲するためにヨツメを持って待機するしらせ乗員のみなさん。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月11日)
左の人が手に持っているのがヨツメ。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月11日)
あまりよく写っていませんが、ヨツメがうまく係留系のロープに引っかかり、引っ張り上げたところ。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月11日)

 


ヨツメはうまく係留系のロープ部分に引っかかりました!あとは係留系を落とさないように船尾の観測甲板まで持っていき、クレーンで引っ張り上げます。

クレーンでシーソー係留系を回収。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月11日)
回収したシーソー係留系の上端部分。ここがシーソーのように上下して、異なる水深の水温や塩分を測定することができます(写真を一部加工しています)。
撮影:JARE61 寺村たから(2020年2月11日)

シーソー係留系はなんとか回収できました。当然のことですが、船から深い海の中を直接見ることはできません。装置を見つけたり回収したりするのに大変な苦労があることを実感しました。

 

RAS係留系の捜索は明日まで続きます。

 

JARE61 寺村たから)