2月12日、プリンセス・エリザベス基地より雪上車で4時間ほど北上したところにあるペルセウス滑走路にこれまで準備した持ち帰り物資を運び込み、飛行機に搬入しました。最後に、ベルギー隊の隊長であるアラン・ヒューバート氏にJARE61の帽子を高村隊員からプレゼント。物資と一緒に我々もプリンセス・エリザベス基地を後にし、ノボラザレフスカヤ基地を経由して、13日には南アフリカのケープタウンへ移動しました。これをもちまして、第61次南極地域観測隊 セール・ロンダーネ山地 陸上生物調査チームの活動が終了しました。
プリンセス・エリザベス基地でベルギー隊とお別れとなる前夜、現地で活動を共にした仲間が集い、ちょっとした「お疲れさま会」が開かれました。ベルギー人の基地設営担当、フランス人のシェフ、スペイン人の科学者、そして我々日本隊。多国籍で言葉が通じないときもありましたが、そこはお互いジェスチャーでカバー。厳しい環境のなか、自分たちの任務を果たしたメンバーは全員笑顔で語り合いました。南極大陸とおなじ、そこに国境はありませんでした。
過去に行われた生物調査以外のセール・ロンダーネ山地の記録には「生命の息吹の感じられない、荒涼とした山々が…」というように書かれており、本当に生物調査ができるのだろうか、南極に陸上生物はどれだけいるのかと不安でした。しかし、それは間違いでした。
空にはユキドリが舞い、岩場には親鳥の帰りを待つヒナがいました。氷が解けて水が流れる場所には青々としたコケや地衣類が茂り、その下には微生物の存在が確認できそうな土壌が広がっていました。
南極の露岩は命あふれる大地でした。
今回の生物調査に協力いただいたベルギー隊、日本隊、南極観測センター、国立極地研究所の皆様に感謝をこめて。
ありがとうございました!
第61次南極地域観測隊 セール・ロンダーネ山地 陸上生物調査チーム
リーダー:高村真司(国立極地研究所南極観測センター、ガイドオフィス・モンターニュ)
林昌平(島根大学学術研究院環境システム科学系)
田留健介(公益財団法人埼玉県生態系保護協会埼玉県自然学習センター)
(JARE61 Terrestrial Biological Research Team, Sør Rondane Mountains, ANTARCTICA.)