トッテン氷河沖集中観測その6 ~海に沈む貴重な泥

トッテン氷河沖で、海底の泥を採取する「採泥観測」が行われています。2代目「しらせ」でのコアリングによる本格的な採泥は初めて、さらに、トッテン氷河沖での採泥は世界初です。

 

採泥観測は、海底の堆積物(泥)を採取し、含まれるプランクトンの化石の種類などから、過去数千年から数万年の海洋環境を知ろうというものです。15日に1回目の採泥を行い、無事に終了しました。

 

17日、調査位置を変えて2回目の採泥が行われました。まず、海底表面の泥を採取するため、「K-グラブ採泥器」を使います。下部の半円状の部分がUFOキャッチャーのようになっていて、開いた状態で海に沈めると、海底に着いたときに自動で閉じて、泥を採取します。

採泥器を引き上げているところ
撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月17日
K-グラブ採泥器を吊り下げるワイヤーは観測甲板にあるウィンチを使って繰り出します。左端は採泥を担当する板木拓也隊員
撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月17日

引き上げた採泥器の中身を確認すると、泥が満載。成功です。

K-グラブ採泥器で採取した泥
撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月17日

次に、「大型グラビティコアラー」の登場。海底に突き刺すことで、海底の泥を深さ最長3メートル、直径13センチほどのコア(円筒状の研究試料)として得ることができる掘削器です。かなり大きく、長いので甲板上での扱いが大変そうでしたが、しらせ乗組員の手により慎重に海底まで投下され、その後、無事に引き上げられました。

大型グラビティコアラーの投下
撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月17日
大型グラビティコアラーを引き上げているところ
撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月17日


引き上げられたコアラーにはしっかりと泥が詰まっていました。これも大成功!

甲板に引き上げられたコアラー。中の泥には過去の環境が刻まれている
撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月17日


採取した泥は、しらせの第2観測室で、保管用に丁寧に切り分けられました。

15日に採取した泥を分けているところ
撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月16日

泥は国内に持ち帰って詳しく分析します。トッテン氷河沖に沈む「泥」が何を語るのか、今から楽しみです。

 

JARE61 寺村たから)