12月15日と17日に、トッテン氷河沖に係留観測の測器を設置しました。係留観測とは、一定の期間、海の特定の場所に測器を設置し、海水温や塩分の経時変化を調べる観測手法です。
係留観測で使用する一式の装置を「係留系」と呼びます。フロート(浮き)や計測器が長い紐でつながっており、片方の端には錘(おもり)がついています。海に入れると錘を下にして海底から立ち上がるように縦に伸び、その地点に留まって水温や塩分を測定し続けます。海洋環境の時間変化をとらえることが目的です。
15日の朝、水深約500メートルの地点に設置する、全長約200メートルの係留系を投入しました。ゆっくり航行する「しらせ」の船尾から、係留系を上端から順番に海に繰り出していきます。
錘の投入後も、係留系を紐で引いたまま、しらせが観測地点に到着するまで数分待機。予定地点に近づくと船内放送で「30メートル前、10メートル前、5メートル前、用意、離脱!」の合図が。乗組員が紐をほどくと、錘や、フロート、計測器が沈んでいきました。投入成功です。
17日には、水深約1000メートルの場所に、全長500メートル弱の係留系を投入しました。これら2系の係留系は、南極の夏のあいだ測定を行い、昭和基地からの帰り(2月下旬から3月上旬の間)に回収する予定です。
(JARE61 寺村たから)