訓練航海3日目となる9月24日。前日の夜間に「しらせ」が利尻島北方の海域へ移動し、24日午後から海底地形調査に関連する観測訓練が行われました。
撮影:JARE68 矢吹裕伯(2026年9月24日)
● XCTD投入訓練
南極地域観測隊では、毎年リュツォ・ホルム湾において海底地形調査を実施しています。海底地形の測定には、しらせ船底に装備されたマルチビーム測深機を使用します。マルチビームは音波を海中に発し、その反射が戻るまでの時間を測定することで海底までの距離を求める装置です。しかし、海中での音の伝わる速さは海水の温度や塩分によって変化します。そのため、正確な水深を得るためには、観測海域の「音速構造」を把握する必要があります。そこで使用されるのが XCTD(eXpendable Conductivity, Temperature and Depth) と呼ばれるセンサーです。
この日は、XCTDの投入訓練を実施しました。センサー部を海中に投下すると、極細のケーブルを通じて船上の装置へ水温・塩分・深度のデータがリアルタイムで送られます。隊員はケーブルの張力や巻き取り速度を確認しながら、データが途切れなく取得されているかを慎重にチェックしました。投入後は、取得されたプロファイル(縦方向の水温・塩分構造)をその場で確認し、マルチビーム測深機の補正に必要な音速計算が正しく行えることを確かめました。南極での本航海では、氷縁付近や海氷下での観測が求められるため、XCTDの確実な運用は欠かせません。隊員は本番を想定しながら、投入手順やデータ確認の流れを丁寧に確認しました。
撮影:JARE68 矢吹裕伯(2026年9月24日)
このXCTDの投入訓練で訓練航海レグ1の一連の海洋観測訓練が終了しました。この訓練の結果を踏まえ、本航海で充実した観測ができるよう、さらに準備を進めていきます。
(JARE68 矢吹裕伯)


