南極の大地をはかる

南極大陸の大部分は厚い氷に覆われていますが、昭和基地の周辺には、氷や雪に覆われていない「露岩(ろがん)」と呼ばれる岩場があります。先日、南極大陸への上陸口の一つである「向岩」にある観測ポイントで、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いた観測を実施しました。

雪上車での移動(左)、向岩上陸口の燃料デポ地(右)
撮影:JARE67 矢萩智裕(2026年9月11日)(左)
JARE67 山田健太郎(2026年9月18日)(右)

GNSSは、GPSなどの人工衛星が発信する電波を使って、地上の位置を正確に測る仕組みで、スマートフォンやカーナビなど、私たちの身近なところでも利用されています。露岩GNSSでは、この技術を利用して岩盤の位置を定期的に細かく測定します。こうした観測を長期間続けることで、地面が少しずつ動いている様子を捉えることができます。

GNSS観測機器の設置風景
撮影:JARE67 島田裕美(2026年9月11日)

今回は、1週間ほど観測を実施しました。受信機などを入れたケースは、強風で飛ばされないよう周囲に岩を置いて固定します。しかし今回は、観測期間中にこの冬最強クラスのブリザードが襲来。回収に向かった際、機器が無事に残っているのを見て、心からホッとしました。必要な観測データも無事に取得することができました。

観測中に襲来したブリザード(左。昭和基地で撮影)、回収時の機器(右)の様子
撮影:JARE67 矢萩智裕(2026年9月15日)(左)
JARE67 矢萩智裕(2026年9月18日)(右)

ところで、なぜ南極で地面の動きを測るのでしょうか?実は、南極の氷は長い時間の中で増えたり減ったりしています。氷の量が変化すると、氷の下にある大地にかかる重さが変わり、その影響で大地もゆっくりと動きます。そのため、地面の動きを調べることで、南極の氷がこれまでどのように変化してきたのかを知る手がかりになるのです。

一見すると何も動いていないように見える南極の大地。しかし、GNSSを使って長い時間測り続けることで、目には見えない地球のゆっくりとした変化が見えてきます。厳しい自然環境の中に観測機器を設置し、現地で実際にデータを取得する。そんな南極ならではのフィールド観測も、この仕事の醍醐味の一つです。

大陸を照らす太陽
撮影:JARE67 矢萩智裕(2026年9月11日)

(JARE67 矢萩智裕)