足場組立講習 -昭和基地を支える技能-

南極地域観測隊と聞くと、昭和基地での気象観測や、「しらせ」上での海洋観測を行う隊員の姿を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、南極での活動は観測だけではありません。

昭和基地には、基本観測棟、管理棟、隊員宿舎など60棟を超えるさまざまな建物があります。これらの施設を安全に使用し続け、観測活動を支えていくためには、日々の維持管理や修繕はもちろん、計画的な施設整備や建物の更新が欠かせません。こうした建設作業の多くは、夏期間に集中的に行われます。限られた期間の中で建物や設備の整備を進めるため、隊員たちはそれぞれの専門分野を生かし、また国内で訓練を受けて、さまざまな作業に携わります。

68次隊では、夏期隊員宿舎と非常用倉庫に足場を設置して、各種作業を行う予定です。そのため、足場の組立、解体作業を安全に実施するための講習を行いました。

講習では、足場の組立・解体に関する実践的な内容の説明を受けた後、実際の部材を用いて組立を行い、最後には解体までの一連の作業を体験しました。実物を使って体を動かしながら作業することで、足場作業時に使用するハーネスなどの安全装備の正しい使い方を学ぶとともに、作業を安全かつ効率的に進めるためにはチームワークが重要であることを実感しました。

足場組立について説明を受ける隊員
撮影:JARE68 藤野博行(2026年9月4日)
実際に足場組立を行う隊員
撮影:JARE68 藤野博行(2026年9月4日)

南極では、必要な人員や資機材をいつでも追加できるわけではありません。そのため、限られた期間と物資、人員の中で昭和基地を維持し、観測活動を続けていくには、隊員一人ひとりがさまざまな技能を身につけ、互いに協力しながら活動することが非常に重要です。

今回実施した足場組立講習も、そのような南極での活動を安全に支えるための重要な準備の一つです。講習を通じて得た知識や経験を生かし、昭和基地での建設作業にも安全第一で取り組んでいきます。

(JARE68 池田 隆平)