南極に届く、星からの便り

南極の夜空に輝く、息をのむほど無数の星たち。その光は何年、何百年、ときには何億年もの旅を経て私たちのもとへ届きます。昭和基地では、その美しい星空を眺めるだけでなく、遠い宇宙から届く微かな電波を受け取り、地球の姿を測るVLBI(超長基線電波干渉法)観測も行われています。

昭和基地から見える天の川
撮影:JARE67 阪本実紀(2026年7月14日)

VLBI観測は、何億光年も離れたクエーサーと呼ばれる天体から届く電波を、地球上の複数地点のパラボナアンテナで同時に観測し、電波を受信するわずかな時間差から、アンテナ間の距離を数ミリメートルという高い精度で求める技術です。地球の形や自転の変化を調べるための重要な観測で、昭和基地もその観測網の一員として参加しています。

昭和基地で使用するパラボナアンテナ
撮影:JARE67 矢萩智裕(2026年7月22日)

観測室では受信システムを立ち上げ、アンテナからの信号強度や、機器の時計合わせといった調整を行います。今回は準備中に機器の不調が発覚し、急遽、予備機への交換作業も実施しました。幸い、本番では大きなトラブルもなく、24時間の観測を無事に完走。全てのスケジュールが終わってほっとしました。

左)機器の交換作業 撮影:JARE67 矢萩智裕(2026年7月18日)
(右)観測風景 撮影:JARE67 鎌田隆雅(2026年7月22日)

観測は夜8時半にスタートし、そのまま24時間連続で行われます。この間に観測する星の数は約180個!その全てに対して、アンテナがプログラム通り稼働しているか監視する必要があります。担当者2名だけで対応することは体力的に難しいため、毎回、有志の隊員に手伝ってもらっています。深夜帯や自分の業務時間を削っての支援に心から感謝です。

観測支援中の隊員たち 
撮影:JARE67 矢萩智裕(左上:2026年4月14日、右上・左下・右下:2026年5月20日)

支援してくれた隊員には毎回ささやかな感謝状もお渡ししています。次回以降もぜひ。

支援してくれた隊員へ感謝状を贈呈 
撮影:JARE67 矢萩智裕(左:2026年3月25日、右:2026年7月24日)

観測データは、次の夏隊とともに日本へ持ち帰られ、世界中の観測データと組み合わせて解析されます。
67次隊の越冬期間中に予定されているVLBI観測はあと3回。良質なデータが取得できるよう、最後まで気を抜かず取り組んでいきます。

(JARE67 矢萩智裕)