採泥チームは、昭和基地のあるリュツォ・ホルム湾とトッテン氷河沖で計10回のビームトロール観測を行いました。ビームトロール観測は底引き網漁のごとく大きな網を海底に沈め、船を曳航させてから引き上げ、海底表層の生き物を採取する観測です。
撮影:JARE67 池田未歩(2026年2月10日)
甲板に引き上げた後は、泥・砂・礫などの堆積物の中から生き物探しが始まります。その日の底質によっては網の中で泥が洗われず、塊ごと甲板に上がってくることもありました。泥にまみれながら最初の選別作業を実施します。
撮影:JARE67 池田未歩(2026年2月10日)
撮影:JARE67 池田未歩(2026年2月10日)
最初の選別作業ではヒトデやナマコなど、手のひらサイズ以上の大きな生き物しか見つけることができません。そのため、より小さな生き物を探す2度目の選別作業が始まります。ここでは、ナマコやウニ、ゴカイなどざっくり生き物ごとに選り分けられます(ソーティング)。この日はもこもこの海綿(カイメン)生物が大漁に獲れました。より小さな生き物の貴重な棲み家となっているため、海綿の中もじっくり観察します。
撮影:JARE67 池田未歩(2026年2月13日)
撮影:JARE67 池田未歩(2026年2月12日)
撮影:JARE67 池田未歩(2026年2月13日)
撮影:JARE67 池田未歩(2026年2月10-14日)
ビームトロール観測を担当する千徳隊員の狙いは、骨格を持ったイシサンゴです。サンゴと聞くと熱帯に広がるサンゴ礁を思い浮かべるかもしれませんが、南極にも1個体ごとに暮らす単体サンゴなどが生息しています。
サンゴの面白いところは、炭酸カルシウムの骨格を作り成長するときに当時の海水中の元素を取り込みながら大きくなるので、化学分析によってサンゴが経験した(100年生きているサンゴであれば100年分の)海水温や古環境を知ることができる点です。外側の骨格だけでも古環境を復元する貴重な資料になるほか、生体が採れた場合は骨格形成機構(バイオミネラリゼーション)や成長速度などをより詳細に調べることができます。
撮影:JARE67 千徳 明日香
撮影:JARE67 池田 未歩(2026年2月12-13日)
もちろんサンゴ以外にもたくさんの生き物が採れます。貴重な南極海の試料が適切な研究者の元へ渡るよう、船上にてエタノールで保定され、帰国後それぞれの研究者へ届けられるそうです。(往路でも偶然生物が採れた際に実施しました。 観測隊ブログ「南緯55度通過&観測隊ならではの1コマ」)
思うと不思議な気分になります。新種はいるでしょうか。
撮影:JARE67 池田 未歩(2026年2月12-13日)
途中で大きな石が網にかかり、ネットが破れてしまうなどのトラブルもありましたが、その時はしらせ乗員の方に補修をしていただき、最後まで観測を完遂することができました。帰国後の研究結果が楽しみです。
撮影:JARE67 池田 未歩(2026年2月14日)
(JARE67 池田未歩)


