ホースを繋げ!過去最長の燃料ホース輸送達成の裏側

南極観測船「しらせ」は、昨年12月27日に昭和基地の沖合約1,700mの定着氷に到着し、昭和基地沖に接岸しました。昭和基地には桟橋がないため、燃料を送油するホースを基地から定着氷の上に展張し、そのホースが届く範囲に「しらせ」が到着したことをもって、「接岸」と表現しています。

燃料を「しらせ」から基地側のタンクに送るホースの長さは、例年600〜1000m。短いホースをつなげて送油する大変な大仕事です。今年は例年の接岸点付近が大きな氷山が広がる乱氷帯となっており、いつもより「しらせ」の接岸点が昭和基地から遠く、ホースの長さも延びてしまうことが懸念されていました。そのため現地にいる66次隊に何度もドローン撮影や氷厚測定などの現地調査を依頼し、ミーティングを重ね、最終的には出発前には急ぎ1500m分のホースを買い足して過去最長となる燃料ホース輸送に向けたさまざまな準備を行ってきました。

接岸点を協議する国内ミーティングの様子。このような会議を何度も重ねていました。
 撮影:JARE67 池田未歩 (2025年9月7日)
新しく購入したホースの積み込み
 撮影:JARE67 池田未歩 (2025年11月5日)

27日の朝、「しらせ」の接岸完了を待たずして昭和基地側でのホース展張作業が始まりました。66次隊と67次隊が協力して作業を進めます。接岸後は新しく買い足した分を含めて「しらせ」側のホースの展張作業もスタートし、多くの「しらせ」乗員の協力により、ホースが伸びていきました。

作業開始前のミーティング
撮影:JARE67池田未歩 (2025年12月27日)

昭和基地側のホースの準備。短いホース(とはいえ約40kgの重さ)を運び出します。
撮影:JARE67池田未歩 (2025年12月27日)
オイル漏れのないよう、きっちり装着
撮影:JARE67池田未歩 (2025年12月27日)

しらせ側でのホース展長の様子
撮影:JARE67 山口洵矢 (2025年12月27日)

そして27日の21時過ぎ、無事にホースが「しらせ」のタンクから昭和基地側のタンクにつながりました! 最終的な長さは2595mとなりました。ホースが長くなった分、元々基地内のタンク間の移送に使用していたポンプを「しらせ」からの燃料引き込み用として接続する工夫も光り、安定した流量で基地側タンクに到達しました。ここからいよいよ燃料ホース輸送のスタートです。夏期間の観測や越冬生活に必要な700klの燃料を、24時間体制で送油します。

送油が始まった瞬間、油と空気を分離するセパレータのメーターを見つめる佐藤隊員(機械設備全般担当)
撮影:JARE67 新田洋一郎 (2025年12月27日)

 

送油中は交代制で流量やタンクの貯油量の監視を実施しました。
撮影:JARE67 池田未歩 (2025年12月28日)

燃料ホース輸送が始まってから6日目となる1月1日の23時頃、無事に予定していたすべての燃料輸送を完了することができました。燃料は昭和基地の発電や暖房、車両の運用など、すべての活動を支えるライフラインです。十分な量の確保は越冬成立に欠かせない条件であり、出発前からこの燃料ホース輸送を無事に完了できるかどうかが、今年の夏期間のオペレーションの一大ミッションとなっていました。

燃料ホース輸送達成の瞬間には立ち会えなかったものの、隊員・乗員一同晴れやかな表情をしていたのではないかと想像します。隊次や所属の垣根を越え、素晴らしいチームワークで乗り越えたミッションでした。お疲れさまでした!

(JARE67 池田未歩)