新しい隊を迎えるために

第67次南極地域観測隊を迎えるために、12月に入って本格的に第一夏期隊員宿舎(一夏、いちなつ)と第二夏期隊員宿舎(二夏、になつ)の立ち上げを開始しました。既に11月に先遣隊が来た際に二夏は立ち上げていたので実績がありますが、一夏の立ち上げは最初で最後となり、越冬隊の一年の中でも大きな業務となっています。設備担当の東海林隊員が主に上水関係を、環境保全の髙妻隊員が下水関係を担当し、そして寝具やその他備品を庶務である私が担当し、宿舎の立ち上げを行っています。

67次隊の到着後は、観測隊員としらせ乗員あわせて100人程の人員が一夏・二夏に宿泊する予定です。私達66次越冬隊も1年前にはこれらの夏期宿舎に宿泊しており、思い出が蘇ってきました。近頃は昭和基地の夏らしい気候で気温も高く、日射も強いので暖房がなくても宿舎の中は穏やかに暖かさを感じます。

上水については東海林隊員が宿舎の裏側からホースで雪解け水を引き込んでいました。ホースを次々と連携し、ポンプで少しずつ組み上げながら接続部に漏れがないか順番に確認していきます。屋外の次に屋内のタンクに、そして同じように繋いだ箇所を確認していきます。これまで何気なく水道の蛇口を捻っていましたが、設備担当隊員の努力によって維持されていることを改めて感じました。厨房へのガスの供給も同様に接続を実施しました。

越冬中外されていたホースを次々と連結していく
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月4日)
ホースの延長した先には雪解け水の溜まった人工のダムがある
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月4日)
ガスの接続確認
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月5日)
接続状況を確認する
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月5日)

下水については髙妻隊員が設備を確認していました。まずは凍結防止のために満たしておいた不凍液を排水し、内部の状況を点検していきます。タンクは大きいのであっという間にドラム缶が排水でいっぱいになり、国内で廃棄するため持ち帰り作業も同時に行います。また取り外していたホースを接続して、一連の流れを復旧します。上水の復旧と連携して、下水の装置のタンクも水を満たし、試運転を行いました。

それ以外においては寝具を南極の強烈な日差しで干したり、シーツ類を洗って畳んで用意しておいたりします。一度に最大で100人程の隊員と乗員が宿泊するので少しずつ用意しておきました。室内の清掃や備品の点検や補充を行い、次の隊が気持ちよく使ってもらえるように整えていきます。既に年数が経っているので古さは否めないのですが、この宿舎で歴代の隊員達が夏期間を過ごしたことに思いを馳せると感慨深いです。67次隊の皆さんにも忙しくも充実した夏期間を宿舎で過ごしてもらいたいと思っています。初めて来る隊員、経験している隊員、そしてこれから将来に来たいと思っている方のためにもしっかりと宿舎を引き継ぎたいと思います。そして声をかけるならば、昭和基地へようこそ。

装置の状況を確認し、内部清掃を行う
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月8日)
試運転にて稼働確認を行う
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月17日)
一夏の2階。忙しい夏期間の憩いのスペース
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月4日)
食堂も隊員達で賑わうのを待っているかのよう
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月2日)
第二夏期宿舎、通称「二夏」
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月2日)
第一夏期宿舎、通称「一夏」
撮影:JARE66 米村幸司(2025年12月2日)

(JARE66 米村幸司)