10月7日、訓練航海2日目です。この日は朝6時前から最初に観測訓練を行う予定の船舶・波浪チームがEMセンサー設置の準備をしていました。
EMセンサーは「しらせ」の舷側に吊り下げ、海氷の厚みを測る装置です。吊り下げる部分だけでも約3mほどの長さがあり、屋内で組み立てを行うことが難しいため、各パーツを甲板に持ち出して作業をします。残念ながら強風のためEMセンサーの訓練は延期となってしまいましたが、強風吹き荒ぶ中の設営は南極出発前のよい予行演習になったようです。

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)
その後、直付け採水の訓練と海底圧力計の投入訓練が行われました。後者の海底圧力計は海の水位の変動を知るために使用する連続観測装置です。しらせの航路上で投入後、海底で1年以上データを取り続ける大変タフな装置で、役目を終えた後は船上から切り離しの指示を送り、本体の浮力で浮上してきたものをしらせ乗員・観測隊員総出で探して回収します。
今回は訓練なので浅い地点へ沈めた後、実際に切り離しの信号を送って計器類の動作を確認しました。

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)
なお、明日に予定していた「8の字航走」もこの日前倒しで実施することになりました。台風接近を間近になるべく多くの希望訓練項目を実施できるように、との判断です。
「8の字航走」とはその名の通り船を8の字に航行させ、あらゆる方位(360°全方向)の磁気データを取得する作業をいいます。それぞれのデータは磁力計のキャリブレーション(校正)に使用されます。本航海中は船の移動に応じて地磁気の強さ・方向が少しずつ変わるため、磁力校正のための「8の字航走」を10回程度実施予定です。

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)

撮影:JARE67 池田未歩(2025年10月7日)
この日の海洋観測訓練は、「8の字航走」で終了となりました。今回の訓練航海には本航海に乗船しない研究代表者や過去の隊で経験のある隊員なども乗船しているため、この後は船内で各種引き継ぎや出発前の準備作業が行われました。
(JARE67 池田未歩)