逆さの虹 環天頂アークと幻日環

9月30日に気象を担当する梶原隊員から「環天頂アーク」という珍しい現象が見えると連絡が入り、外に出てみました。空を見上げると大きな太陽の上に、大きな逆さになった虹が見えました。逆さの虹は初めて見たのでとても驚きましたが、太陽の周りに丸い輪が出来ており、さらに輪を横切って大きな輪が横に伸びていました。太陽の形も丸というよりはどこか上下に伸びて、空気中を細かな氷の粒がキラキラと降り注ぎ、とても珍しい現象ということが一目で分かりました。

大きな環天頂アーク
大きな環天頂アーク
撮影:JARE66 野島孝之(2025年9月30日)
環天頂アーク
海氷と太陽が光の柱で繋がっているように見える
撮影:JARE66 野島孝之(2025年9月30日)

翌日10月1日に改めて気象隊員の梶原隊員、野島隊員に話を聞いてみました。写真等で確認できる範囲で複合的な現象が起きていたことが分かりました。太陽を囲む光の環は内暈であり、太陽から上下に伸びる光は太陽柱と呼ばれています。そして太陽の右と左に光る部分を幻日と言い、幻日からさらに左右に伸びる光を幻日環と言うそうです。また、逆さの虹は、環天頂アークと呼ばれ太陽が比較的低い位置にある時に見える現象であり、さらにそれに接するように淡く太陽を囲む光の環は外暈のようです。幻日環や環天頂アーク、外暈といった現象は特に珍しいそうで、複合的に発生しているものを南極の昭和基地で見られたことが、残りの越冬生活の良い兆しになればと思いました。

19広場からの環天頂アーク
19広場から
撮影:JARE66 米村幸司(2025年9月30日)
環天頂アーク
氷の粒が絶え間なく光っていました
撮影:JARE66 米村幸司(2025年9月30日)


逆さの虹
撮影:JARE66 米村幸司(2025年9月30日)

(JARE66米村幸司)