2025年9月13日、国立極地研究所にて「南極医学・医療ワークショップ2025」が開催されました。会場とオンラインのハイブリッド形式で行われ、50名を超える多くの研究者・関係者が参加しました。今回は南極のみならず、中国やオーストラリア在住の先生方からも参加があり、国際的な視点での意見交換が行われました。
午前のセッションでは、「国際的な南極医学・医療の動向」や「観測隊員への歯科支援」について報告がありました。またJAXAから2名の先生に参加いただき、南極と宇宙をつなぐ視点から活発な議論が行われました。午後のセッションでは、「長期航海での身体適応に関する報告」や、「南極長期滞在による口腔細菌の変化に関する研究」などが取り上げられました。さらに昭和基地から66次隊医療隊員も参加し、越冬期間における最新事例を交えた研究報告があった他、私たち67次医療隊員からも南極行動中の医療調査計画を紹介しました。
本ワークショップは、南極での生活・活動を安全に支える医療や研究の最前線を共有する貴重な機会となりました。昭和基地での現場報告や次期隊の計画紹介に加え、海外在住の先生方を交えた国際的な議論を通じて、参加者全員が「人間が極限環境でどう生き、健康を守るか」という課題を改めて考える一日となりました。

(JARE67 北郷 実)