6月3日、車両担当の片桐隊員指示のもと、昭和基地の多くの車両で使われている燃料の種類を入れ替えました。極夜を通り過ぎ、季節の変わり目で屋外の気温はマイナス20度前後の日が多くなりました。昭和基地はこの時期までは「ウィンター軽油(通称:W軽、ダブケイ)」を使っていました。
この種類は日本の規格でいうJIS特3号軽油で、約マイナス30度で凍ってしまいます。実際にはマイナス20度くらいから流動点が低下し、目詰まりなどを起こしやすくエンジン始動不良等の不具合を起こす場合があります。それに対し今回入れ替えを行った「南極用低温燃料(通称:南軽)」はマイナス60度でも流動性がある南極観測に特化した燃料です。

撮影:JARE66 米村幸司(2025年6月3日)

撮影:JARE66 米村幸司(2025年6月3日)

撮影:JARE66 米村幸司(2025年6月3日)
車両用燃料はリキッドコンテナと呼ばれるタンクに種類ごとに入っています。2月にドラム缶から地道に燃料を移し作成しておりました。このタンクを移動させて給油スペースと待機スペースの入れ替えを行いました。日本のようにガソリンスタンドはないので、給油する燃料の管理も自分達で行う必要があります。今は極夜期間のため野外で作業できる時間が短いのですが、設営系隊員同士で協力して明るい内に作業が完了しました。今後は入れ替えた「南極用低温燃料」を使って、基地の維持管理を行っていきます。
※屋内の発電に使われるエンジンは、余熱設備があるため1年を通して「ウィンター軽油」を使っています。

撮影:JARE66 米村幸司(2025年6月3日)

撮影:JARE66 米村幸司(2025年6月3日)

撮影:JARE66 米村幸司(2025年6月3日)
(JARE66 片桐瑛、米村幸司)