トッテン氷河では、海にせり出した棚氷の底面が、沖合からの比較的暖かい海水により融解していると考えられています。その融解水の行方などを調べるために66次隊の船舶波浪チームはGPSが搭載された漂流型波浪ブイを投入しました。波の高さや周期を調べるセンサーのほか、下部には海流を捉える「抵抗体」を取り付けており、海流の向きや速さについて調べることができます。

撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月21日)

撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月21日)
また、船舶波浪チームは「しらせ」の航行性能モニタリングシステムを更新し、GNSS(全球測位衛星システム)による船の形の変形や運動の計測のほか、複数のカメラによる「しらせ」および海氷のモニタリングシステムを組み立て、それらを合わせて可視化するシステムを築き上げています。特に前方と後方に設置したカメラの映像について、ドローンで撮影した画像を参考にしながら、真上から見たように変換するなどの取り組みも実施中です。
「しらせ」から撮影した前方映像(上左)と後方映像(上右)
真上からの視点に変換した映像(下):動画
資料提供:JARE66 船舶波浪チーム
こうすることで、氷までの距離や形,船体との位置関係をより分かりやすく表示することができます。このような画像を航行支援・観測支援に役立てるため,色々な見せ方を検討しています。今後の活用にぜひご期待ください。

撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月21日)

撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月21日)
(JARE66 北本憲央)