土壌サンプリング調査

3月12日、14日に医療部門の荒木隊員が行う土壌サンプル調査に気象櫻本隊員と共に同行しました。昭和基地を含む東オングル島全域を対象として、土壌・生物の糞便を検体として採取し破傷風菌の有無を調査することを目的としています。

現在は疾病予防の観点から南極への渡航者に破傷風ワクチンの接種が推奨されているものの、南極の土壌や生物の糞便から破傷風菌を分離同定できたという報告はありません。昭和基地周辺の破傷風菌の存在や分布を明らかにすることができれば、南極観測隊員の業務内容・活動範囲における感染リスクを評価でき、破傷風ワクチン接種の啓発をより一層、適切に行えると考えています。

土壌サンプルとして、表層から5~10cmの土や砂を採取し、採取位置をGPSにて記録していきました。それらサンプルは専用容器(嫌気ポーター)に移し替えられ、凍結保管し帰国後に解析する予定です。

出発前にサンプル採取位置を地図で相談、確認
撮影:JARE66 米村幸司(2025年3月14日)
予定していたポイントに到着後、サンプル採取
撮影:JARE66 荒木修(2025年3月12日)

現在の昭和基地周辺は海氷が割れて海水が周囲を流れ込み、海に囲まれているような状況です。12日のことですが、風もなくほとんど無音の中、静かに水が流れる音だけがしていました。サンプル調査していた我々の背中で大きなプシューという音が響き振り返ると、クジラが水面に上がって潜っている瞬間でした。残念ながらカメラが間に合わず写真が取れなかったのですが、良い瞬間に立ち会うことが出来ました。

クジラは撮れませんでしたが付近の海氷の様子
曇っているが海氷は流れている
撮影:JARE66 荒木修(2025年3月12日)
晴れてはいるが海が凍り始めている
撮影:JARE66 荒木修(2025年3月14日)

(JARE66 米村幸司)