レグ2往路における観測が始まりました

2月26日に南極観測船「しらせ」がフリーマントルからトッテン氷河へ向けて出航し、翌27日にオーストラリアのEEZ(排他的経済水域)を出ました。現在、「しらせ」の航路上で海洋表層観測が毎日、朝、昼、晩と行われています。

海洋表層の水温、塩分、二酸化炭素の濃度、そして植物プランクトン量の指標となるクロロフィルa濃度を自動観測装置によって連続的に観測しています。特にプランクトンは環境変化に対してとても敏感なため生態系変化を調べる材料となります。これまで長期にわたって得られたモニタリング観測データは国際的にも希少であり、これまで多くの長期変動の解析に利用されています。

また、66次レグ2夏隊は海洋分野の専門チームに入れ替わることで、より多様な目的に応じた観測が始まりました。船底からくみ上げた海水から、通常のモニタリング観測で実施されるクロロフィルa濃度や栄養塩に加え、溶存酸素、溶存無機炭素、アルカリ度、粒子状有機炭素など20項目ほどの観測が実施されています。

観測の様子
観測室で作業をする観測隊員たち
撮影:JARE66 北本 憲央(2025年3月1日)

トッテン氷河での観測に向け連日行われるミーティングの様子
3/1:「しらせ」乗員と海洋観測打ち合わせ(上)
3/2:海洋観測に係る作業分担の確認(中)
3/3:船上観測における安全対策研修(下)
撮影:JARE66 北本 憲央

新たな海洋観測メンバーが増えたことで観測室内が活発化した印象を受けます。チームリーダーの真壁隊員による指揮のもと、レグ2の復路までほぼ毎日観測が続きます。


・クロロフィルa:葉緑素の一つ。光合成において光を吸収する色素で、赤色と青紫色を吸収し青緑色に見えます。
・溶存酸素(Dissolved Oxygen,DO):水中に溶解している酸素(水中に住む魚などの生物は溶存酸素を取り込んでいます)
・溶存無機炭素(dissolved inorganic carbon,DIC):溶液中の無機炭素の総称(無機炭素には二酸化炭素 炭酸、炭酸イオンや重炭酸イオンが含まれています)

(JARE66北本憲央)