昭和基地から内陸に約1,000km離れたドームふじ観測拠点IIでは、100万年前のアイスコア深層掘削プロジェクトが進められていますが、66次隊からは新たにドームふじでの天文観測プロジェクトも始まりました。
標高3,800mのドームふじ観測拠点IIは、地上のサブミリ波天文観測において障害となる水蒸気が極めて少なく、世界最高水準の観測環境です。筑波大学を中心に開発した口径30cmのサブミリ波望遠鏡(500 GHz帯域)を用いて天の川銀河の広域観測を実施し、私たちが住む天の川銀河の中で星が誕生するメカニズムを詳細に解明することを目指しています。
今回は天文スペースの位置決定と望遠鏡を設置する台や電源システムの構築を実施しました。車両や発電機からの排煙を避けるため、天文スペースは生活スペースから風上方面に250mほど離れています。

撮影:JARE66 井上崚(2024年12月27日)
望遠鏡台や電源システムの筐体は、南極の厳しい寒さにも耐えうる発泡スチロールブロックと木材を組み合わせて製作しました。

撮影:JARE66 本多俊介(2024年12月11日)
ドーム天文隊員は初めての南極でしたが、他のドーム隊員からの支援もあったことで作業は順調に進み、当初の計画以上の成果を残すことができました。望遠鏡本体に関しても、極地研での低温環境試験や全ての機器を含めた統合試験など南極への輸送に向けて準備を進めています。

撮影:JARE66 本多俊介(2024年12月28日)
(JARE66 本多俊介)