モニタリング観測装置、一挙ご紹介!

12月11日~15日に海洋生態系モニタリング観測を行いました。ここでは、その観測に使われた装置を紹介します。

1. LADCP搭載CTD採水システム
海水の塩分や温度、溶存酸素、pHなどを測るセンサーと目的の深さで海水を採取するボトルを取り付けたCTD採水システムと呼ばれる装置に、海流の向きと速さを測るLADCPという機器が搭載されています。これらを水深500m近くまで沈め、その後、引き上げます。ボトルは特定の水圧を検知すると上下の蓋が閉じるようになっていて、任意に設定した6段階の水深(20、50、75、100、200、400m)の海水をそれぞれ採取することができます。

装置写真
観測甲板に引き上げられるLADCP搭載CTD採水システム(左)、採水をする観測隊員たち(右)
撮影:JARE66 北本 憲央(2024年12月14日)
編集:JARE66 北本 憲央
※LADCP…Lowered Acoustic Doppler Current Profiler:音響式流向流速計(下部に付いている黄色の機器)
※CTD… Conductivity:電気伝導度(塩分)、Temperature:温度、Depth:深度

2.ノルパックネット(North Pacific Standard Net)
動物プランクトンを採取する円錐形の網。網目のサイズが異なる2種類のネットでサンプルを大まかに分けて採取することができます。

3.がま口ネット
ノルパックネットと同じ円錐形のネットですが、任意のタイミングでネットの口を閉じることができるため、目的の水深でのプランクトン採取が可能です。

装置写真
観測甲板に引き上げられるノルパックネット(左)、がま口ネット(中央)、ネットからプランクトンを採集する観測隊員(右上)
撮影:JARE66 北本 憲央(2024年12月15日)
各観測点(左から南緯40,45、50、55,60度)で回収されたサンプル(右下)
撮影:JARE66 山本 那由(2024年12月17日)
編集:JARE66 北本 憲央

4.アルゴフロート
自動で浮き沈みしながら、深さ2000mから表層までの水温・塩分の分布や海洋循環を観測する機器。海洋全域に数千台が配置されています。

5.オーストラリア気象局漂流ブイ
海上を漂流しながら、気圧、水温、波の運動を継続的に観測する装置。オーストラリアからの依頼を受けて、今回は10個のブイを海に投入しました。
 

装置写真
箱に収納され海洋に浮かぶアルゴフロート(上)
撮影:JARE66 長浦 紀華(2024年12月11日)
観測隊員によって放出され海洋を漂うオーストラリア気象局漂流ブイ(下)
撮影:JARE66 北本 憲央(2024年12月15日)
編集:JARE66 北本 憲央

6.CPR(Continuous Plankton Recorder:連続プランクトン採取装置)
航走している船からケーブルで引きながら動物プランクトンを連続的に採集する装置。丸一日、採取し続けることで、航路上での種類や密度の変化を知ることができます。また100年近く使用されており、実績と信頼のある採集装置として知られています。
こちらもあわせてご覧ください。→ ウェブマガジン「極」 「100年変わらぬデザイン、ギネス認定のプランクトン採集器」

装置写真
観測甲板に引き上げられるCPR(左)、CPRからサンプルを採集する観測隊員(右)
撮影:JARE66 北本 憲央(2024年12月14日)
編集:JARE66 北本 憲央

今後も様々な観測装置が登場します。観測の内容とあわせて紹介する予定です。

(JARE66北本憲央)