ロンビックアンテナの修理

東オングル島の昭和基地主要部から北西、歩いて5分くらいの所にアンテナ島という島(俗称ではなく正式な島名です。)があります。

東オングル近郊の地図(一部抜粋)
国土地理院発行地図をもとに作成
アンテナを支える鉄塔がたくさん見えるアンテナ島
撮影:JARE65 奥谷椋一(2024年10月17日)

その名のとおり、ここには南極での活動には切っても切り離せない通信に必要なアンテナがいくつもあります。今回は、そのひとつであるロンビックアンテナの修理についてです。

アンテナ島にあるロンビックアンテナの鉄塔(手前)
撮影:JARE65 渡邊創(2024年10月9日)

ロンビックアンテナ。聞きなれない名前ですが、ロンビックアンテナとはアンテナの一種で、「ロンビック」は日本語で「ひし形」を意味し、上空から見るとひし形のように電線を張ったアンテナです。昭和基地では短波帯での遠距離の無線通信に使用しています。

電線が切れてしまい垂れ下がってしまったアンテナの碍子
 撮影:JARE65 渡邊創(2024年10月9日)
鉄塔上部にある滑車を回して電線を下ろそうとしている様子
撮影:JARE65 村島正太郎(2024年10月9日)

このロンビックアンテナについて、ブリザード後の点検を行ったところ強風により電線が切れていることがわかったので修理することにしました。滑車で繋がっている電線を地上に下ろし、切れた電線をつないでから、再び滑車で電線を上げて野外での作業は終了です。この後、屋内で測定を行って修理完了となります。

断線した電線の修理
撮影:JARE65 渡邊創(2024年10月9日)

ロンビックアンテナは11月からドームふじ観測拠点Ⅱへの旅行に出発するチーム(ドーム旅行隊)との通信に使用します。ドーム旅行のような遠距離の旅行を行うときには、現地の状況の情報共有や隊員の安否確認を行うための通信手段の確保が重要です。アンテナ島にはロンビックアンテナ以外にも短波帯での無線通信に使えるアンテナがありますし、短波帯での無線通信の他に衛星電話などの通信手段もありますが、万全の態勢でドーム旅行隊が出発できるよう、このタイミングでの修理を行いました。

今後もまだまだブリザードが来ると思われますが、ドーム旅行隊との通信を確保できるよう、その都度点検や修理を行うことにしています。

(JARE65 山岡麻奈美)