例年、夏期間になり、次の隊がやってくると、しらせ乗組員と観測隊から支援を募り、PANSYエリアの除雪作業を行います。なかには、重機で除雪できない手掘りでの除雪もあり、過酷な作業となります。
越冬期間中には夏作業の除雪作業をできるだけ軽減するよう少人数でできるかぎりの除雪作業を行います。そのひとつがPANSY小屋の床下除雪になります。
8月25日から8月29日にかけて、B級ブリザードとA級ブリザードが連続して発生し、5日間、外出禁止令を含めた外出制限のある状態が続きました。このブリザードによりPANSYの床下に雪が大量に付いてしまいました。
小屋下はもちろん重機での除雪はできませんので手掘り作業となります。このまま放置しておくと、氷へと変わり夏作業の除雪作業が大変になるだけでなく、最悪の場合、小屋が埋まってしまうことがあります。
PANSY担当隊員は越冬隊の中にひとりしかいないため、他部門の隊員の支援の下、手掘りでの除雪作業が行われました。少人数での生活環境において助け合いで成り立つ越冬生活。安全に考慮しながらこういった除雪作業だけでなく、日本では経験したことのない作業もお互いに率先して協力し、みんなで支えあって越冬生活を送っています。
南極では重機を使用したくても、気温が低すぎて重機のエンジンがかからないことがあります。今回は床下から掘り出した雪を捨てる場所がなくなり、重機のエンジンもつかず使用できなかったため作業が当初の想定より難航しました。
PANSY小屋周辺の除雪から始まったこの床下除雪は、多くの隊員の助けを得て無事終了いたしました。協力頂いた隊員のみなさま、本当にありがとうございました。
越冬生活も後半戦に差し掛かり、次の夏作業に向けた準備で越冬隊みんなの生活も慌ただしくなってきました。早く日本に帰りたい気持ちと昭和基地の生活があと少ししかないという寂しい想いの狭間で、残りの越冬生活を充実したものにしていき、前次隊からもらったバトンを次の隊へと繋いでいけたらと思います。
(JARE65 PANSY担当 田村厳)