燃料移送

昭和基地で使用する燃料は年に1回、ドラム缶もしくは「しらせ」の燃料タンクに入れて南極観測船「しらせ」により輸送されます。全輸送重量に占める燃料の割合は60%を占め、観測物資や設営物資を圧倒するほどです。「しらせ」の燃料タンクで輸送された燃料は、「しらせ」が昭和基地沖に接岸到着すると、ホースを連結し、直ちに昭和基地のタンク群に送油されます。このタンク群は、東オングル島の端に位置し、見晴らし岩貯油タンクと呼ばれています。

見晴らし岩貯油タンクから基地主要部までは約1km離れており、おおよそ月に1回程度の頻度で、常設のパイプラインで基地側タンクに燃料を供給しています。これを「燃料移送」と呼んでいます。

東オングル島・昭和基地
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年9月11日)

隊員は見晴らし岩タンクと基地側タンクに数名ずつ分かれて対応にあたります。燃料移送中に漏油などが起きないように、10分毎に送油量、受油量を無線で伝達し合いながらメーター値を監視しています。

ここで移送された燃料は、発電機用エンジン、暖房用ボイラーの燃料として使用されています。観測や生活をするうえで欠かせない燃料。1回の送油でおよそ70キロリットルもの燃料を送油しますが、10分間の送油量はおよそ2キロリットルのため、9時頃に作業を開始して、15時過ぎに送油が終了する、1日がかりの作業です。

作業開始前後には、タンク内の残油量と油温を計測しています。
撮影:JARE65 長谷川司(2024年4月16日)
見晴らし岩貯油タンクにて送油量を監視する様子。
撮影:JARE65 村島正太郎(2024年9月23日)
こちらは基地タンク側。受油量のメーター値の確認。
撮影:JARE65 福本新二(2024年9月23日)
メーター値等を記録し、見晴らし岩貯油タンク、基地側タンク側の隊員に向けて指示を出します。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年9月23日)

(JARE65 山岡麻奈美)