2レグ制とは・・・

第66次南極観測隊では、観測隊史上初の「2レグ制」を導入いたします。「2レグ」とは何かと思われるかもしれませんが、結論としては1度の「しらせ」の航海において、南極に2往復することを呼称しています。日本を出発してオーストラリアのフリーマントルに寄港し、南極の昭和基地に向かう。そして同じルートで帰ってくるという、これまでの航海を「レグ1」と呼んでいます。

さらに66次隊では、帰路でオーストラリアのフリーマントルに寄港した際に、隊員を一部入れ替えて再度南極に向かいます。これを「レグ2」と呼んでいます。その主目的は南極のトッテン氷河沖にて南極氷床の質量損失過程の詳細、その海洋環境や物質循環への影響の実態を解明するために集中観測を行うことです。

「2レグ」制の概要
画:JARE66 米村幸司

「レグ1」のみ、「レグ2」のみ、その両方に参加する隊員がおり「しらせ」の移動と隊員の入れ替えは少々複雑な状況になっています。さらに先遣隊としてDROMLANという航空網にて南極へ向かう隊員もおります。また東京海洋大学の海鷹丸による別動隊も南極に向かいます。

「2レグ制」を実施する66次隊ではこれまで受け継いできた基本観測(定常観測、モニタリング観測)、そして様々な研究観測(重点研究、一般研究、萌芽研究)を行います。重点研究観測には、「最古級のアイスコア採取」や「東南極氷床融解メカニズムと物質循環変動」、「大型大気レーダーを中心とした大気大循環変動」が含まれています。無事に計画が完了するよう66次隊一丸となって準備しております。各計画の詳細については、今後このブログでも少しずつ紹介していきたいと思います。

「しらせ」との会合で行動案を説明する原田隊長
撮影:JARE66 米村幸司 (2024年7月26日)

次回予告:「スチールコンテナ組立練習」について紹介したいと思います。

(JARE66 米村幸司)