レドーム修繕作業

昭和基地でも存在感のある、多目的アンテナのレドーム(高さ17m)。
内部に直径11mのパラボラアンテナが格納されています。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年3月7日)

昭和基地主要部の南東に、多目的アンテナのレドームがあります。
このレドームの内部には直径11mのパラボラアンテナが格納されており、VLBIという測量の観測に利用されています。
4月29日、多目的アンテナ担当の清水隊員が、レドームの修繕作業を行っていました。傷が入ったり、薄くなったパネルを補強し、破けにくくするために、コーキング剤を塗る作業です。レドームの高さは17mほどで、高所作業車を使用して作業を進めます。

コーキング剤を塗布して(上)、塗り広げる(下)。
ムラのないよう、丁寧に塗り広げていきます。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年4月29日)
引いて見ると結構な高さで作業をしていることが分かります。作業後に清水隊員にインタビューしたところ、
「気温が低くて思うように作業が進まない」との感想が。高所作業、お疲れさまでした!
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年4月29日)

作業時の気温は-15℃。寒さで手が悴むなか、作業を進めます。コーキング剤が固まってしまい、なかなか滑らかに塗り広げることができず苦戦する様子も見受けられましたが、ムラのないように丁寧に塗り広げていきます。

レドームが破けてしまうと、内部に風や雪が吹き込むことでパラボラアンテナが傷んでしまい、観測に影響が出てしまいます。レドームを維持するために、ブリザードの後には高所作業車やドローン空撮によりレドームの点検を行うほか、3か月ごとに定期点検を行っています。

内部に設置されたパラボラアンテナは1989年、30次隊のときに建設され、レドームによって守られてきました。30年以上経過し、今なお現役で機能しつづけているのは、隊員による丁寧なメンテナンスによるものです。

レドーム内部のパラボラアンテナ。
このアンテナを利用したVLBI観測については、またの機会にご紹介したいと思います。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年4月11日)

(JARE65 山岡麻奈美)