南極で桜餅を味わう

越冬隊では、隊員同士の人間関係を円滑にし、越冬生活に彩りを加えることを目的に、生活係というものを設置しています。どんな生活係を設けるかは隊次によって異なりますが、65次越冬隊では食に関するものから娯楽や生活に関わるものまで計14の係※1を設け、1人3つ以上の係に所属し、業務時間外に自主的に活動しています。

今回は、喫茶・スイーツ係の活動をご紹介したいと思います。4月といえば桜の季節!ということで、休日日課※2の土曜日の午後、桜餅をつくりました。道明寺粉を用いた関西風の桜餅です。

※1...新聞係、写真・アルバム係、イベント・スポーツ係、図書・教養係、アマチュア無線係、シアター係、バー係、発酵醸造係、農協係、漁協係、喫茶・スイーツ係、パン麺係、ミシン・工房係、理髪係

※2...南極地域観測隊では休みの日のことを休日日課(きゅうじつにっか)と言います。その日は隊員はスポーツイベントを開催したり、基地内で映画を観たり、思い思いの休日を過ごします。

 
 
 
 

桜餅に関西風と関東風があることを、つい最近知りました。今回作ったのは、関西風。
関西風と関東風は、見た目も材料も違うみたいですね。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年4月27日)

調理隊員のサポートを受けながら、材料を計量し、混ぜ合わせ、生地をつくっていきます。「桜餅ってこうやって作るんだね」とわいわいと餡を生地で包み、水気をきった桜の葉で包んだら完成です。無線で「桜餅が完成しました。食堂に食べに来てくださ~い」の連絡が入ると、基地内でそれぞれ作業をしたり、休養をとっていた隊員が、ぞろぞろと食堂に集まります。

「桜餅が食堂にありますよ~」との連絡を受け、集まる隊員達。
早い者順!?たくさんあるので急がなくて大丈夫ですよ。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年4月27日)
ほっと一息。行松越冬隊長もご満悦の様子。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年4月27日)

できたての桜餅は、抹茶とともに。桜の葉の独特な香りが日本の春を感じさせ、上品で優しい甘さに隊員はみな笑顔であふれていました。喫茶・スイーツ係による活動は度々行われており、3月3日には菱餅を作り、女性隊員をはじめ隊員たちを喜ばせてくれました。今回は桜餅。そうすると5月はきっと....!

南極の厳しい環境のなかで過ごしていると、ふと季節感を忘れそうになります。
そんななか、昭和基地で味わうその時期ならではの和菓子は、日本の四季や季節の移ろいを感じられ、格別の味です。

気がついたら、お作法を学ぶ講座が始まっていました。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年4月27日)

(JARE65 山岡麻奈美)