「しらせ」恒例イベント、南極大学・艦内娯楽大会

2月29日、南極観測船「しらせ」はアムンゼン湾を発ってから7日間、往路とは逆にひたすら東進し東経116度付近に位置するサブリナコーストのトッテン氷河沖にまで到達しました。トッテン氷河は第65次南極地域観測隊が「しらせ」に乗船したフリーマントル港の概ね真南に位置しています。アムンゼン湾からは、日本列島を縦断するよりも遠い約3,700km、昭和基地からだと約4,400km以上の距離を移動してきたことになります。いよいよ65次行動の最終目的地ですが、観測については別の記事で紹介するとして、今回の観測隊ブログでは東進中の「しらせ」船内で2月24日から26日にかけて行われた「南極大学・しらせアカデミー」と同じく24日から27日の期間で行われた「艦内娯楽大会」についてご紹介します。
「南極大学・しらせアカデミー」は、毎次の恒例行事として 往路・復路の両方で行われています。「南極大学」は観測隊から「しらせ」乗員に向けて行う座学で、65次隊の観測計画を往路で、また復路で64次越冬隊・65次夏隊が実施してきた観測・設営の内容について講義が行われました。それに対して「しらせアカデミー」は「しらせ」乗員から観測隊に向けて行われる座学で、「しらせ」の概要や運航に係る各科の役割、また往路では今次に行われた支援活動の内容についても紹介いただきました。

観測隊公室にておこなわれた南極大学としらせアカデミーの様子を抜粋してご紹介します。こちらは65次夏隊お魚チームの松田隊員から発表された、海氷下での魚類の行動調査についてです。「しらせ」乗員の皆さんだけでなく、関心を持つ観測隊一同も熱心に傾聴していました。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月24日)
64次越冬隊の瓢子隊員からは地圏と気水圏のモニタリング観測について。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月24日)

64次越冬隊の佐東隊員からは「昭和基地発電所」というタイトルで。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月25日)
65次夏隊ペンギンチームの後藤隊員からは、「ペンギン行動・環境調査で探る南極沿岸の海洋生態系」というタイトルで発表された他、3日間に渡って計6つ観測系・設営系の発表が行われました。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月25日)
一方「しらせアカデミー」では、リュツォ・ホルム湾およびプリンスオラフ海岸におけるCH輸送ヘリコプターによる野外観測支援の概要や、また「しらせ」がドックに入渠(にゅうきょ)しておこなわれる整備補修の概要や、乗員の訓練の様子の他、昭和基地での物資輸送支援など観測隊の活動を縁の下から支えてくれた様々な支援活動について各科より紹介いただきました。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月24日)

撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月24日)

「艦内娯楽大会」は「しらせ」主催で行われるイベントですが、これに観測隊も参加しました。これまでの約3カ月間に及ぶ航海での狭い艦内生活や、天気の機嫌で日程の変更や圧縮を強いられた観測隊支援行動で張り詰まった緊張を、大きな余暇イベントを企画して解きほぐし、また観測隊との交流を深める場としていただけたのです。その内容は、トーナメントによる対戦競技としてオセロ、将棋、ダーツ、eSport(TVゲーム)、そして全員参加のビンゴ大会の5種類です。頭のスイッチを切り替えて余暇を大いに楽しむことが出来た「しらせ」乗員と観測隊員の一同は、この後のトッテン氷河沖集中観測に向けたラストスパートに力を合わせて臨みます!

娯楽大会4競技(オセロ、将棋、ダーツ、eSport)について「しらせ」と観測隊からそれぞれ定数の希望者を募りトーナメント方式で競い合われました。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月27日)
こちらはeSportの部の対戦会場(科員食堂)の様子です。eSportらしく本格的な実況解説もおこなわれ、観戦者は固唾を呑んで対戦を見守っていました。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月27日)
こちらは将棋部門の決勝戦です。流石に「しらせ」には畳の間はないので、観測隊公室にて行われました。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月27日)
残念ながらオセロ部門では観測隊から上位に勝ち残ることができませんでしたが、将棋部門とダーツ部門で優勝を勝ち取ることができました。各部門の優勝者の皆さん、おめでとうございます!
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年2月27日)

(JARE65 丹保俊哉)