ありがとう、しらせ!

1月24日午前8時頃(昭和時間)、南極観測船「しらせ」は昭和基地沖の定着氷を離れて反転、オングル海峡の南側からリュツォ・ホルム湾内に向かって再び砕氷航行を開始しました。昨年12月25日に昭和基地沖定着氷に着岸して以来、「しらせ」とその乗員の皆さんには、約1カ月間に渡って越冬用の物資や燃料を輸送いただくとともに、夏期間の野外観測や基地での設営業務などを支援いただきました。

去りゆく「しらせ」に手を振る人
昭和基地沖の定着氷より離岸し、オングル海峡を抜け出そうとする「しらせ」に手を振る観測隊員たち。
撮影:JARE65 木下千恵(2024年1月24日)

手を振る人たち
「しらせ」の惜しみない支援活動に対する謝意の気持ちと復路の安全を祈念して、見晴らし岩に多くの観測隊員や同行者が集まって手を振り続けました。
撮影:JARE65 木下千恵(2024年1月24日)

そうしたしらせの役割は、離岸をもって終わった訳ではありません。64次越冬隊と65次夏隊の帰路の足となることはもちろんのこと、2月上旬まではリュツォ・ホルム湾内にて海洋観測を行い、その後も南極大陸沿岸を東進しながら海洋観測を継続し、2月下旬頃に予定されているトッテン氷河を対象とした集中観測では、洋上基地としての機能を果たしてもらうことにもなっています。

ヘリコプター
昭和基地や野外観測拠点への人と物資の輸送を担ってくれた「しらせ」搭載のCH輸送ヘリコプター。ダウンウォッシュによる手痛い出迎えは良い思い出です。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2023年12月29日)
食事の準備
「しらせ」補給科の皆さんが第一夏期隊員宿舎の厨房を切り盛りして、腹ペコな65次観測隊のお腹を満たしてくれました。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2023年12月20日)
体操をする観測隊員としらせ乗員
昭和基地の設営業務に多くの「しらせ」乗員が支援として基地に入り、同宿していました。写真は海上自衛隊第一体操で体をほぐす観測隊員と「しらせ」乗員。
撮影:JARE65 丹保俊哉(2024年1月13日)

また65次観測隊は引き続きもうしばらくは、大陸沿岸での野外調査や昭和基地での設営業務等に努め、64次越冬隊も65次越冬隊への業務の引継ぎを余念なく済ませられるように忙しくしています。65次越冬隊を除く全ての隊員が昭和基地に別れを告げ、「しらせ」と合流するのは2月上旬頃を予定しています。昭和基地での夏があっという間に過ぎていこうとする一方、それぞれの隊員はまだまだ仕事が残っている様子です。そわそわする気持ちを落ち着けて、あと少しの昭和基地を慎重に安全に、また楽しく過ごしていきたいと思う広報隊員でした。

去る「しらせ」
長い汽笛を残して昭和基地に別れを告げた「しらせ」。今年の年末も、白い海氷にひと際映える立派な船体をみせて、65次越冬隊を迎えにきてあげてください。
撮影:JARE65 木下千恵(2024年1月24日)

(JARE65 丹保俊哉)