南極授業①『違いを知ろう~南極と大阪~』を実施しました

1月24日(水)に大阪府立吹田支援学校の中学部を対象とした南極授業を実施しました。この日のテーマは『違いを知ろう~南極と大阪~』です。
生徒にとっても教職員にとっても、南極という響きはあまりに唐突でした。そのため、出発前の事前学習は、段階を踏んでていねいに行いました。南極について勉強した後、南極の旗を考えたり、折り紙でペンギンを折ったり、昭和基地から投函するハガキを書いたりして、生徒が“南極”という場所を少しでも身近に感じることができるように取り組みました。

学校で日常的に取り組んでいる天気の確認など、生徒にとってなじみのある内容からスタートしました。この日の日本は、ニュースなどで“この冬一番の寒さ”と何回も聞くような日だったこともあり、吹田と昭和基地の気温がほぼ同じで、生徒も先生たちもびっくりしていました。その後、気象、オーロラ、氷、ペンギン、お魚について、それぞれの観測をしている隊員の方から話を聞き、生徒から質問をしました。
生徒からは「雨は降りますか?それとも氷が降る?」「オーロラを何回見たことがある?」「ペンギンのヒナはどれくらいの大きさ?」「南極の魚は凍っているの?」「アザラシに触ったことがある?」という質問が出ました。一見簡単な内容に見えるのですが、それぞれの専門家である隊員が子どもたちに説明してくれた内容を聞くと、”当たり前“で片づけてしまって知っているつもりになっていることの多さに気づき、私自身も勉強になりました。
最後に、吹田版南極の旗を発表して、授業は終了しました。
この日、何より印象に残っているのは、出演してくれた観測隊員のみなさんが優しい表情で話をする姿と生徒の笑顔です。
日本側の先生方に聞くと、質問や発表をした生徒はとても緊張していたそうです。
そして、それぞれのコーナーを担当してくださった観測隊の方たちは、忙しい業務の傍ら、子どもたちにどう伝えたら分かりやすいかを考えて用意し、本番に臨んでくれました。

事前のリハーサルでは、寒さのために中継カメラがシャットダウンしてしまったり、マイクに風のノイズがたくさん入ってしまって声が聞き取れなかったり、映像がきれいに流れなかったり。端末を何台接続するのか、データ量が増えて通信が不安定にならないか、授業内容とインフラの状況をすり合わせながら、準備を進めました。また、せっかくのオンライン授業です。同じ時間を共有した、自分たちの授業だということを生徒に実感してもらうためにはどうすればいいか、最後まで考え続けていました。日本側と昭和基地側双方で、本当にたくさんの方の協力があって、子どもたちと一緒に授業をすることができました。

(JARE65 宇田川順子〈大阪府立吹田支援学校〉)

19広場からの中継。大陸からの冷たい風が吹いていて体感温度はかなり低めです。
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年1月24日)
この日の出演者のみなさん。難しい話を工夫して分かりやすく伝えてくれました!(授業映像より)
みんなで手を振って授業を終えました。
撮影:国立極地研究所広報室(2024年1月24日)