1月26日(金)に、大阪府立吹田支援学校へ向けた2回目の南極授業を実施しました。
この日のテーマは『働く人~南極での生活と仕事~』です。キャリア教育の一環として、生徒の生活にも馴染みがある職種の観測隊員にスポットを当てる内容で実施しました。
最初に、65次行松越冬隊長に登場していただき、吹田支援学校の一日と観測隊の日課を生徒と一緒に確認しました。隊長からは、白夜や極夜など、時間の感覚が分かりにくくなる南極で、日課が決まっていること、食事の時間が決まっていてみんなで顔をあわせる時間があることがとても大切だと話がありました。そして、子どもたちに向けて「人とのつながりを大切にして、たくさん勉強してたくさん遊んで、好きなことや楽しいと思うことを見つけてください。」とメッセージをいただきました。
その後、インターネット、調理、医師、車両整備、建築で参加している観測隊員から、①仕事の内容、②働いていて楽しいことやうれしいこと、③元気に働くために気をつけていることの3点について、それぞれの活動場所から話をしてもらい、生徒からの質問に答えていただきました。
生徒からは、「(ネットで)アニメを見られる?」「薬はあるの?」「お寿司を食べられる?ホテルみたいな食事なの?」「救急車やパトカーはある?」「昭和基地にはどんな部屋があるの?」という質問が出ました。生徒は、緊急車両はないと聞いて残念そうな様子でしたが、昭和基地にある車で代用すると聞いてびっくりしていました。
最後に、19広場に集まってくれたたくさんの観測隊員と本校の生徒みんなでラジオ体操をしました。日々、ラジオ体操に取り組んでいることは、本校と観測隊の共通点です。南極で働くことは特別なことかもしれないけれど、元気に働くために日々積み重ねていることは決して特別なことではないということを生徒に伝えることを目指しました。画面越しではありましたが、生徒は日本から遠く離れた南極で働く人たちも、自分たちと同じようにラジオ体操をして、一日の活動(仕事)を始めていることを知ることができました。
実施後に発行した生徒向けの『なんきょくだより8号』(大阪府立吹田支援学校 学校ブログに掲載中)では、“南極授業を支えた観測隊員”というテーマで、授業の画面には登場しなかったけれど、運営側で参加してくれていた観測隊員を紹介しました。カメラの切り替えや通信状況の監視、タイムキーパー、ディレクターや中継カメラと、昭和基地側だけ見ても、いろいろな担当者がいました。本校の南極授業は2日間とも、時間割と時差の関係で、昭和基地側は朝7時半授業開始だったため、その1時間前にはスタジオに集まって準備をしました。
また、今回の南極授業は、日本側でもたくさんの先生方が事前学習から始まり、南極授業当日に向けて生徒をサポートしたり、機材の準備や行事予定の調整をしたり、授業ができるように準備を進めてくれました。
日本側、昭和基地側で協力してくれた方たちに、感謝の気持ちでいっぱいです。
授業で取り上げた内容は、今回の派遣で得たもののほんの一部です。帰国後は、生徒を始めとするたくさんの人に、南極の魅力や南極地域観測隊について伝えていきたいと思っています。そしてそれが、その人なりの“楽しいことや好きなこと”を見つけるきっかけになればうれしいです。
(JARE65 宇田川順子〈大阪府立吹田支援学校〉)