南極の夏は観測隊の繁忙期。氷河や海氷、地質や生物など様々なテーマを持つ野外観測チームが昭和基地周辺や南極大陸の沿岸各地を飛び回っています。一方、昭和基地では、通年で行う観測や基地の設備を支える業務等について、64次隊越冬隊から65次越冬隊へ引継ぎが活発に行われています。
観測船「しらせ」が間近に接岸している見晴らし岩では、64次、65次のLAN・インテルサット担当の隊員たちがアンテナとライブカメラの調整を行っていました。見晴らし岩は昭和基地のビューポイントのひとつ、カメラのメンテナンスにも気合が入ります。
こちらは昭和基地の心臓部、発電棟です。昭和基地には常用発電機が2台あり、そのうちの1台で常時発電し、各建物や観測設備に電力を供給しています。約500時間ごとに運転する発電機を切り替え、点検整備を行い、正常な状態を保つよう維持管理を行なっています。64次、65次の発電機エンジン担当、発電機制御盤担当の隊員を中心に、これから点検整備に入る発電機と稼働させる発電機の切替作業を行っていました。
気象部門では、1日に2回ゴム気球に観測装置(ラジオゾンデ)を吊るして飛揚させ、高度約30kmまでの気象データ(気圧、気温、湿度、風向・風速)を得る高層気象観測を行っています。この日は65次隊の草野隊員がラジオゾンデの放球を行っていました。また放球デッキの近くでは、ゴム気球に充填するヘリウムガスの準備作業を共同で進めていました。
観測隊では、例年2月1日に昭和基地の運営管理が新しい隊へと引き継がれます。私たち64次隊が昭和基地を離れ、「しらせ」に帰還するまであと数日となりました。昭和基地に面する真っ白な海氷、遠くに広がる南陸大陸を覆う巨大な氷、そこに大地があることを主張するように表れる岩石や岩山。これら南極の自然は常に雄大で、強く私たちの心に残っています。叶うことなら、もっとずっと眺めていたい気持ちですが、頼もしく力強い次の隊に基地と仕事を引継ぎ、私たちは次の航海に進みたいと思います。
(JARE64 白野亜実)