地質チームがかすみ岩での調査を行いました

12月26日にルンドボークスヘッタをあとにした地質チームは、12月28日に次のキャンプ地であるかすみ岩へ出発しました。

「かすみ岩」は昭和基地からヘリコプターで北東に約50分の比較的遠いところにある露岩で、両隣が氷河というなんとも南極らしい風景の調査地です。専門的な面白さを言っておくと、昭和基地周辺の広い地域では6~5億年前の変成作用が報告されているのですが、かすみ岩のすぐ東の二番岩、日の出岬、あけぼの岩という露岩ではさらに古い10億年前が見つかっています。

そこで今回は10億年前と6~5億年前という年代境界を探すためにかすみ岩にやってきました。10億年と6~5億年という「5億年分の境界」を見つけるのも、研究者の足による地道な調査です。いつも歩いた経路をGPSで記録をとっているのですが、大体毎日7~10 km歩いて調査しています。ただ歩いているだけなら良いのですが、岩場で足元も悪く、たくさんの岩石試料を詰めた30 kg以上にもなるリュックサックを背負っています。それでも欲しい岩石をたくさん採れると嬉しくなり、いくら重くなっても途中で捨てることなく、頑張ってベースキャンプに戻ります。

かすみ岩での調査は1月3日まで毎日しっかり行い、その後は東隣りの二番岩へ移動しました。

(JARE65 森祐紀)

かすみ岩で岩石を採取する森隊員。奥に氷河があり、南極らしい風景です。
撮影:JARE65 森祐紀(2024年1月1日)
黒色の片麻岩中に貫入するピンク色のペグマタイト。いつの年代なのか気になります。
撮影:JARE65 森祐紀(2024年1月1日)
露頭の観察結果を記録する外田隊員。岩石ができた前後関係を見極めます。
撮影:JARE65 森祐紀(2023年12月31日)
年越しもかすみ岩でキャンプでした。ちょうど元旦にベースキャンプにペンギンが新年の挨拶をしに来てくれました。撮影:JARE65 森祐紀 (2024年1月1日)