南極の春は日射量が一気に増え、海氷周辺の生物活動が活発になる季節です。65次隊では本格的な夏の到来を前に4名が先遣隊員として昭和基地に入り、海氷下で暮らす魚類や、昭和基地の周りの島で繁殖するアデリーペンギンの生態を調査しています。
お魚チームは分厚い海氷にドリルで穴を開け、釣りで魚を採集し、また海洋環境調査やプランクトンネット調査を行っています。これから魚に音響発信器を取り付けて行動を調べたり、採集した魚の一部を飼育しながら国内へ持ち帰ったりする予定です。
ペンギンチームはペンギンに小型の記録計を取り付けて回収し、行動を調べています。この時期、ペンギンはオスとメスが交代で卵を温めながら数100km先までエサを食べに出かけてゆきます。その途中の群行動や海中の環境を調べるのが今回の調査の主なねらいです。
この時期の海氷上はところどころで割れ目や雪氷の融けた水たまりが見られ、また一面白いために天候が悪くなると視界がきかなくなって迷いやすいなど、危険も多いです。お魚・ペンギンチームはこういった危険を避けるよう気を付けながら、協力し合って一緒に調査を進めています。
(JARE65 國分 亙彦)